海底で眠った奇跡のワイン体験|西伊豆VOYAGE熟成ワインの衝撃的な味わいと失敗談
最初の一口で、私は言葉を失った。グラスに注がれた深紅の液体は、普通のワインとは明らかに違う何かを秘めていた。西伊豆の海底15メートルで半年間眠っていたというVOYAGE(ヴォヤージ)。正直、最初は「海底熟成?マーケティングの一環でしょ」と疑っていたが、その考えは完全に覆された。
購入のきっかけは偶然の出会いから
伊豆旅行中、たまたま立ち寄った土産物店で見つけたのがVOYAGEとの出会いだった。店員さんの説明を聞いて興味本位で購入したが、実は11,000円という価格に正直躊躇した。普段飲むワインの3倍以上の値段。しかし、その後の体験は価格以上の価値があったと断言できる。
海底熟成という独特の製法
VOYAGEの最大の特徴は、西伊豆の美しい海の底で熟成されること。紫外線が届かない海底約15メートルの環境は、ワインにとって理想的な熟成条件を提供する。水温は年間を通して安定し、適度な水圧がワインに独特の変化をもたらすという。

実際に飲んでみた率直な感想
グラスに注いだ瞬間から、その違いは明らかだった。香りが立ち上がる様子、色の深み、そして何より口に含んだ時のまろやかさが印象的。タンニンの角が取れて、実に滑らかな口当たり。フルボディでありながら重すぎない、絶妙なバランスが実現されていた。
良かった点
- 口当たりの柔らかさは想像以上。高級レストランで飲むワインに匹敵
- 香りの複雑さと深み。時間とともに変化する味わいが楽しめる
- 特別な日の演出に最適。話題性も抜群
- ボトルに付着した海の痕跡が、本物の証明
改善してほしい点
- 価格が高め。日常的に楽しむには躊躇する
- 購入場所が限られている。もっと手軽に入手できれば
- 種類によって当たり外れがある(個人的にはカサーレ ヴェッキオが一番)
失敗談:最初の1本を台無しにした話
実は最初に購入した1本は、完全に失敗してしまった。冷蔵庫でキンキンに冷やして飲んだのだ。赤ワインを冷やしすぎるなんて、今思えば愚かだったが、「海底で冷えていたんだから」という謎の理論で行動してしまった。結果、せっかくの香りも味わいも半減。2本目からは適温(16-18度)で楽しむようにしている。
他の海底熟成ワインとの比較
実は海底熟成ワインはVOYAGE以外にも存在する。私が試した3つのブランドを比較してみた。
| 項目 | VOYAGE | 南紀白浜 海中熟成酒 | SUBRINA |
|---|---|---|---|
| 価格 | 11,000円 | 8,800円 | 15,000円 |
| 熟成期間 | 6ヶ月 | 3ヶ月 | 12ヶ月 |
| 深度 | 15m | 10m | 20m |
| 味の特徴 | まろやかでバランス良 | フルーティー | 重厚で複雑 |
個人的にはVOYAGEが最もバランスが良いと感じた。価格と品質の関係で見ても、納得感がある。SUBRINAはより高級だが、その分価格も跳ね上がる。南紀白浜は手頃だが、熟成期間が短い分、変化が物足りない印象だった。

どんな人におすすめ?正直な意見
VOYAGEは万人受けする商品ではないと思う。以下のような人には特におすすめだ:
- ワイン好きで新しい体験を求めている人:普通のワインに飽きた人には刺激的
- 記念日や特別な日を演出したい人:話題性があり、会話も弾む
- 贈り物を探している人:ユニークで高級感がある
逆に、以下の人には向かないかもしれない:
- コスパ重視の人:正直、味だけなら同価格帯でもっと良いワインはある
- ワイン初心者:違いを楽しむには、ある程度の経験が必要
- 日常的にワインを楽しみたい人:特別感はあるが、毎日飲むには高すぎる
購入前に知っておくべきこと
実際に複数本購入して気づいたことがいくつかある。まず、ボトルごとに微妙に味が異なること。これは海底という自然環境での熟成ゆえの個体差だと思うが、品質のばらつきと捉える人もいるかもしれない。
また、保管方法も重要だ。海底から引き上げられた後も適切な環境で保管する必要がある。私は最初、普通のワインと同じように扱ってしまったが、デリケートな商品なので温度管理には特に気を配るべきだった。
意外な楽しみ方を発見
試行錯誤の末、VOYAGEの最高の楽しみ方を見つけた。それはデカンタージュだ。通常の赤ワイン以上に、空気に触れさせることで劇的に味が変化する。最初の30分で香りが開き、1時間後にはまた違った表情を見せる。この変化を楽しむのが、VOYAGEの醍醐味だと気づいた。
料理とのペアリングも重要だ。意外にも和食との相性が良く、特に煮込み料理や熟成肉との組み合わせは絶品。西洋料理だけでなく、日本の食文化にも馴染む懐の深さがある。
コストパフォーマンスの真実
11,000円という価格設定について、正直に評価したい。純粋にワインの味だけで判断すれば、5,000円程度のワインと同等レベルというのが本音だ。しかし、体験価値を含めれば妥当だと思う。海底で熟成されたという物語、特別感、話題性。これらすべてを含めた価格と考えれば、決して高すぎることはない。

購入方法と注意点
VOYAGEの購入は意外と難しい。公式サイトか限られた取扱店でしか手に入らない。私は最初、普通の酒屋で探し回って時間を無駄にした。また、人気商品は売り切れることも多い。特にシャトー・モン・ペラは入荷してもすぐに完売してしまう。
配送にも注意が必要だ。デリケートな商品なので、真夏や真冬の配送は避けた方が良い。私は8月に注文して、到着時にワインが温まっていて品質が心配になった経験がある。春か秋の注文がベストだと学んだ。
総評:期待を超える体験、でも...
VOYAGEは間違いなくユニークで価値のある体験を提供してくれる。海底熟成という製法は単なるギミックではなく、確かに味に影響を与えている。まろやかさ、複雑な香り、時間とともに変化する味わい。これらはすべて本物だ。
ただし、万人におすすめできるかと言えば、そうではない。価格、入手の難しさ、保管の手間。これらのハードルを越えてでも特別な体験を求める人にこそ、VOYAGEは真価を発揮する。
個人的には、年に数回の特別な日のために1-2本常備している。日常使いには向かないが、大切な人との時間を特別なものにしてくれる、そんなワインだ。高いお金を払う価値があるかは人それぞれだが、少なくとも一度は体験してみる価値はあると断言できる。