73,700円。この金額を腕時計に使ったことを、購入から3日後に激しく後悔した。

なぜなら、わずか3日で時計が動かなくなったからだ。

しかも、原因は完全に私の不注意。洗面所で手を洗っている最中、うっかり時計を水没させてしまったのだ。防水機能があると勝手に思い込んでいた私の完全なミスだった。

普通なら二度と買わない。むしろ悪評を広めたくなるレベルだ。

それなのに、修理から戻ってきた今も、私は毎日BRILLAMICOのLILYを身に着けている。さらに驚くことに、妻にもプレゼントとして購入した

回転する文字盤に隠された、恐ろしいほどの中毒性

BRILLAMICOのLILYシリーズ最大の特徴は、文字盤がクルクルと回転すること。初めて見た時は「なんだこれ?」と困惑した。

でも、使い始めて1週間。気づけば会議中も、電車の中でも、無意識に文字盤を眺めている自分がいた。

回転する文字盤を見ていると、なぜか心が落ち着く。ストレスを感じた時、イライラした時、自然と視線が腕時計に向かう。まるで高級な大人のフィジェットスピナーのような存在になっていた。

3つのサイズ展開が生む、予想外の問題

LILYシリーズは46mm、40mm、31mmの3サイズ展開。私は最初、「大きければ大きいほど良い」という単純な理由で46mmを選んだ。

これが大失敗だった。

私の手首は細い。46mmの時計は、まるで腕に小さな盾を装着しているような違和感があった。シャツの袖に引っかかる。デスクワーク中にパソコンにぶつかる。正直、邪魔でしかなかった。

結局、40mmに買い替えた。この出費は痛かったが、サイズ選びの重要性を身をもって学んだ。

革ベルト vs シリコンベルト vs デニムベルト - 1年間使い分けた結果

BRILLAMICOの面白いところは、ベルトの種類が豊富なこと。私は結局、革ベルト、シリコンベルト、デニムベルトの3種類すべて試した。

革ベルトの真実

高級感は抜群。ビジネスシーンでは最高の相棒になる。しかし、夏場は地獄だった。汗でベルトが変色し、臭いも気になり始めた。3ヶ月で交換を余儀なくされた。

シリコンベルトの意外な落とし穴

スポーツジムで使うならこれ一択。汗をかいても問題ない。でも、ビジネスシーンでは完全に浮く。「なんでその高級時計にスポーツバンド?」という視線を何度も感じた。

デニムベルトという選択肢

正直、最初は「ダサい」と思った。でも使ってみると、カジュアルな服装との相性が抜群。週末専用として愛用している。

競合ブランドとの冷静な比較

73,700円という価格帯で、他にどんな選択肢があるのか。1年間悩んだ末に比較した2ブランドと、BRILLAMICOの違いを表にまとめた。

項目 BRILLAMICO LILY SEIKO プレザージュ CITIZEN アテッサ
価格帯 73,700円 60,000円〜80,000円 70,000円〜90,000円
独自機能 回転文字盤 機械式自動巻き エコドライブ(光充電)
防水性能 生活防水のみ 10気圧防水 10気圧防水
重量感 軽い 重い 中程度
話題性 ★★★★★ ★★★ ★★★
メンテナンス 電池交換のみ 定期的なオーバーホール必要 ほぼ不要

SEIKOやCITIZENと比べると、機能面では明らかに劣る。防水性能も低い。でも、それでもBRILLAMICOを選ぶ理由がある。

なぜ水没させた時計を修理してまで使い続けるのか

修理代は15,000円かかった。新品の20%以上の金額だ。普通なら諦める。

でも、修理に出している2週間、私は別の時計を着けていた。機能的には優れているはずのその時計が、なぜか物足りなかった。

時間を確認する時、ただ針の位置を見るだけ。それ以上でも以下でもない。時計を見る楽しみがなかった

BRILLAMICOのLILYは違う。時間を確認するたびに、回転する文字盤が小さな驚きを与えてくれる。朝の憂鬱な気分も、午後の疲れも、一瞬だけ忘れさせてくれる。

妻の反応が教えてくれた、この時計の本当の価値

結婚記念日に、妻にも31mmモデルをプレゼントした。正直、「変わった時計」と言われることを覚悟していた。

でも妻の反応は予想外だった。

「これ、見てて飽きない」

それから半年。妻は毎日LILYを着けている。高級ブランドの時計も持っているのに、なぜかLILYの出番が圧倒的に多い。

理由を聞くと、「人に聞かれるから」という答えが返ってきた。

確かに、この時計は会話のきっかけになる。「その時計、文字盤が動いてる?」と聞かれることが月に数回はある。初対面の人との会話に困ることがなくなった。

1年使って分かった、購入前に知っておくべき5つの真実

1. 防水性能への過度な期待は禁物

生活防水レベルなので、手洗い時は必ず外す習慣をつけること。私のような失敗をしないために。

2. 電池寿命は意外と短い

回転機構のせいか、電池は約1年で交換が必要。電池交換費用は3,000円程度。

3. 文字盤の回転音

静かな場所では、かすかに回転音が聞こえる。図書館や試験会場では気になるかもしれない。

4. 修理対応は意外と早い

水没修理は2週間で完了。対応も丁寧で、むしろ好感度が上がった

5. リセールバリューは期待できない

中古市場での需要は低い。一生使う覚悟で購入すべき。

結論:73,700円の価値はあるのか

機能性だけを求めるなら、答えは「No」だ。同じ価格帯で、もっと高機能な時計はいくらでもある。

でも、毎日の生活に小さな驚きと楽しみを求めるなら、答えは「Yes」になる。

時計は時間を確認するだけの道具じゃない。身に着けることで気分が変わり、会話が生まれ、日常に彩りを加えてくれる。BRILLAMICOのLILYは、まさにそんな存在だ。

水没させて15,000円の修理代を払い、サイズ選びに失敗して買い替え、それでも私は満足している。むしろ、これらの失敗があったからこそ、この時計の本当の価値に気づけた。

ただし、購入を検討している人には伝えたい。完璧を求めるな、と。

防水性能も、電池寿命も、決して優秀ではない。でも、それらの欠点を補って余りある魅力がある。回転する文字盤を眺める瞬間の、あの不思議な満足感は、他の時計では絶対に味わえない。

3日で壊した私が言うのもなんだが、この時計は「所有する喜び」を教えてくれる。それが73,700円の本当の価値だと、私は思っている。