父が急逝してから2ヶ月後のことだった。遺品整理をしていた私は、書斎の引き出しに眠っていた古いノートパソコンを発見した。埃をかぶったそのパソコンを開いた瞬間、私の人生は大きく変わることになる。

「パスワードを入力してください」

画面に表示されたその文字を見て、私は途方に暮れた。父は生前、投資が趣味だと話していたが、まさかデジタル資産を持っているとは思いもしなかった。

予想外の展開:専門業者への依頼

自力でパスワードを解除しようと試みたが、3回失敗した時点で諦めた。下手に触ってデータが消えてしまったら取り返しがつかない。そう思った私は、デジタル遺品整理の専門業者を探し始めた。

ネットで検索すると、想像以上に多くの業者が存在していた。その中で私が最終的に選んだのが「デジタル資産バトン」だった。

なぜデジタル資産バトンを選んだのか

正直に言うと、最初は他の業者も検討していた。しかし、警察や法執行機関でも使用されている捜査ツールを使っているという点が決め手となった。

実は、最初に相談した地元の便利屋さんには「パスワード解除は無理です」と断られていた。次に相談したIT業者からは「データが消える可能性があります」と言われ、不安になっていた時にこのサービスを見つけたのだ。

初回相談での印象

電話での初回相談は無料だった。担当者の方は、私の状況を丁寧に聞いてくれた。特に印象的だったのは、「お父様はどんなことに興味を持たれていましたか?」という質問だった。

父が投資に興味があったこと、最近は仮想通貨の話をしていたことを伝えると、「それなら、金融関連のデータを重点的に調査したほうがいいですね」とアドバイスをくれた。

実際の作業プロセス

契約後、パソコンを郵送で送った。正直、見ず知らずの業者に父の遺品を送ることに抵抗はあった。しかし、ISMS認証を取得しているという点と、秘密保持契約をしっかり結んでくれたことで安心できた。

1週間後の中間報告

作業開始から1週間後、担当者から電話があった。

「山田様、お父様のパソコンから興味深いデータが見つかりました。暗号資産の取引所にアクセスした履歴と、ウォレットアプリがインストールされていました」

心臓が飛び出しそうになった。

衝撃の発見

さらに調査を進めてもらうと、父は複数の取引所に口座を持っていたことが判明した。そして、その中の一つに約3,000万円相当のビットコインが眠っていたのだ。

私は言葉を失った。父がそんな大金を暗号資産で持っていたなんて、家族の誰も知らなかった。

他にも見つかった重要なデータ

暗号資産だけではなかった。調査の過程で、以下のようなデータも発見された:

  • ネット証券の口座(約500万円の株式)
  • FX口座(約100万円)
  • 複数のポイントサイトのアカウント(合計約30万円相当)
  • サブスクリプションサービス15個(月額合計約3万円)
  • アフィリエイトサイト(月収約5万円)

特にサブスクリプションサービスは、放置していたら年間36万円も無駄になるところだった。アフィリエイトサイトに至っては、その存在すら知らなかった。

3社のサービス比較

実は、デジタル資産バトンに決める前に、他の2社とも詳しく比較検討していた。以下がその比較表だ:

項目 デジタル資産バトン デジタル遺品整理サポート おくりびとのデジタル終活
着手金 11万円〜 5万円〜 8万円〜
成果報酬 救出資産の10% なし 救出資産の15%
パスワード解析 ◎(専門ツール使用) △(簡易的) ○(外部委託)
データ復旧 ×(別料金)
金融資産調査 ◎(専門プランあり)
返金制度 あり なし 条件付きあり
セキュリティ認証 ISMS取得 なし Pマーク取得

デジタル遺品整理サポートの特徴

着手金が最も安く、シンプルなサービス内容だった。基本的なデータ抽出やSNSアカウントの整理には対応しているが、パスワード解析や金融資産の調査には限界があるようだった。

実際に問い合わせた際、「パスワードがかかっているファイルは開けない可能性が高い」と言われた。また、データ復旧は別業者に委託する必要があり、追加料金が発生するとのことだった。

おくりびとのデジタル終活の特徴

サービス名からして丁寧な対応を期待したが、実際その通りだった。担当者の対応は非常に親切で、精神的なサポートも含めたサービスを提供している。

ただし、成果報酬が15%と高めなのがネックだった。私の場合、3,000万円の資産があったので、450万円の成果報酬になる計算だ。また、技術的な面では外部委託が多く、作業に時間がかかるとの説明もあった。

料金プランの詳細比較

デジタル資産バトンには3つのプランがあった。私が選んだのは「ファイナンスプラン」だった。

ベーシックプラン(11万円〜)

  • デジタルファイルの整理
  • SNSアカウントの確認
  • メールアカウントの整理

正直、このプランでは父の暗号資産は見つからなかっただろう。基本的なデータ整理には十分だが、金融資産の調査やパスワード解析は含まれていない

ファイナンスプラン(33万円〜)

  • ベーシックプランの全内容
  • 金融関連データの特定と整理
  • パスワード解析
  • データ復旧
  • 成果報酬:救出資産の10%

私はこのプランを選択した。着手金は高めだが、成果報酬が10%というのは他社と比べて良心的だった。

プレミアプラン(55万円〜)

  • ファイナンスプランの全内容
  • より難解なパスワード解析
  • 破損データの復旧

父のパソコンはそれほど古くなく、データの破損もなかったため、このプランまでは必要なかった。

実際にかかった費用

最終的に私が支払った金額は以下の通りだった:

  • 着手金:33万円
  • 成果報酬:360万円(3,600万円の資産×10%)
  • 合計:393万円

※最終的に見つかった資産総額は約3,600万円だった

一見高額に見えるが、自力では絶対に見つけられなかった3,600万円の資産を発見できたことを考えると、十分に価値があった。もし知らないまま放置していたら、これらの資産は永遠に失われていただろう。

作業の詳細と発見されたもの

第一段階:基本調査(1週間)

まず、パソコン内の基本的なファイル構造を調査してもらった。この段階で以下が判明した:

  • 使用していたメールアカウント:5個
  • インストールされていたアプリ:127個
  • ブラウザの履歴とブックマーク
  • 保存されていたパスワード(一部)

特にメールアカウントからは、各種サービスからの通知メールが大量に見つかった。これが後の調査の重要な手がかりとなった。

第二段階:金融資産調査(2週間)

メールの履歴から、父が利用していた金融サービスをリストアップしてもらった:

  • 暗号資産取引所:3社
  • ネット証券:2社
  • FX業者:1社
  • ネット銀行:4行

ここで問題となったのが、各サービスのログイン情報が分からないことだった。しかし、デジタル資産バトンの技術者は、保存されていた断片的な情報から、多くのアカウントへのアクセスに成功した。

第三段階:パスワード解析(1週間)

最も時間がかかったのが、暗号資産ウォレットのパスワード解析だった。父は賢明にも、重要なパスワードは別の場所に保管していたようだが、それも暗号化されていた。

技術者の方は、父の趣味や誕生日、過去に使用していたパスワードのパターンなどから推測し、最終的に解読に成功した。この時の安堵感は今でも忘れられない。

デジタル遺品整理で気づいた落とし穴

この経験を通じて、デジタル遺品には多くの落とし穴があることを知った。

1. 二段階認証の壁

父が使用していたサービスの多くは二段階認証が設定されていた。セキュリティとしては素晴らしいが、本人以外がアクセスすることは極めて困難だった。

幸い、父のスマートフォンも一緒に調査してもらったため、SMSでの認証は可能だった。しかし、もしスマートフォンが壊れていたり、紛失していたりしたら、多くの資産にアクセスできなかっただろう。

2. 海外サービスの複雑さ

父は海外の暗号資産取引所も利用していた。これらのサービスは:

  • 相続手続きが複雑
  • 必要書類が英語
  • 日本の法律が適用されない場合がある
  • 時差の関係で連絡が取りづらい

デジタル資産バトンの担当者は、こうした海外サービスにも精通しており、必要な手続きをサポートしてくれた。

3. 継続課金の罠

調査で判明した15個のサブスクリプションサービス。その中には、父がもう使っていないであろうサービスも多く含まれていた:

  • 動画配信サービス:5個(月額計8,000円)
  • 音楽配信サービス:2個(月額計2,000円)
  • クラウドストレージ:3個(月額計5,000円)
  • その他:5個(月額計15,000円)

年間にすると36万円もの無駄な支出になるところだった。

思わぬ発見:アフィリエイトサイト

調査の終盤で、最も驚いたのがアフィリエイトサイトの発見だった。父は趣味で釣りのブログを運営しており、そこから月5万円程度の収入があったのだ。

このサイトは:

  • 月間アクセス数:約10万PV
  • 記事数:500記事以上
  • 収益:月5〜8万円

デジタル資産バトンの担当者からは、「このサイトは売却可能です。M&Aサイトで200〜300万円で売れる可能性があります」とアドバイスをもらった。

現在、このサイトは私が引き継いで運営している。父の趣味だった釣りについて学びながら、月々の収入も得られるようになった。これも父からの思いがけない贈り物だと思っている。

家族で共有すべき教訓

この経験から、我が家では以下のルールを決めた:

1. デジタル資産リストの作成

家族全員が、自分の持っているデジタル資産をリスト化することにした。具体的には:

  • 利用しているサービス名
  • アカウントID(パスワードは別管理)
  • おおよその資産額
  • 二段階認証の設定有無

2. 緊急時アクセス方法の共有

パスワードマネージャーの緊急アクセス機能を活用し、万が一の時に家族がアクセスできるようにした。

3. 定期的な棚卸し

年に1回、家族でデジタル資産の棚卸しをすることにした。不要なサービスは解約し、新しく始めたサービスはリストに追加する。

デジタル資産バトンの良かった点

振り返ってみて、デジタル資産バトンを選んで良かったと思う点は多い:

1. 技術力の高さ

警察でも使用される捜査ツールというのは伊達ではなかった。他社では「無理」と言われたパスワード解析も、時間はかかったが成功した。

2. 料金体系の明確さ

最初は着手金33万円を高いと感じたが、成果報酬が10%と他社より低く、トータルで見ると良心的だった。また、何も見つからなかった場合の返金制度があるのも安心材料だった。

3. セキュリティへの配慮

ISMS認証を取得しているだけあって、セキュリティ管理は徹底していた。作業報告書も詳細で、どのようなデータにアクセスしたか、全て記録されていた。

4. アフターフォロー

調査終了後も、海外取引所での相続手続きについてアドバイスをもらえた。また、アフィリエイトサイトの運営についても、基本的なことを教えてくれた。

改善してほしかった点

もちろん、完璧なサービスというわけではない。いくつか改善してほしいと感じた点もある:

1. 作業期間の長さ

トータルで1ヶ月以上かかった。もう少し早く結果が欲しかったというのが本音だ。ただ、これは扱うデータ量と作業の複雑さを考えると仕方ないのかもしれない。

2. 中間報告の頻度

週1回の報告だったが、もう少し頻繁に状況を知りたかった。特に最初の1週間は、本当に大丈夫かと不安になった。

3. 出張サービスのエリア

出張サービスは東京と千葉のみ対応とのことで、地方在住の私は郵送せざるを得なかった。全国対応してもらえると、もっと利用しやすいと思う。

他社サービス利用者の声

実は、知人にも同様の経験をした人がいて、違うサービスを利用していた。参考までにその感想も紹介する。

デジタル遺品整理サポートを利用したAさん

「料金が安かったので選んだが、結果的に満足度は低かった。パスワードがかかったファイルは開けず、重要そうなデータも復旧できなかった。結局、別の専門業者に依頼し直すことになり、二度手間になってしまった」

おくりびとのデジタル終活を利用したBさん

「対応は本当に丁寧で、精神的にも支えられた。ただ、技術的な部分は外注が多く、時間がかかった。成果報酬15%も、見つかった資産が多かったので、かなりの金額になってしまった」

デジタル遺品整理を検討している方へのアドバイス

私の経験から、以下のアドバイスをさせていただきたい:

1. 早めの行動が大切

データには保管期限があるものも多い。また、継続課金されているサービスもあるため、早めに調査を始めることが重要だ。

2. 料金だけで選ばない

安いサービスには理由がある。技術力やセキュリティ、成果報酬なども含めて総合的に判断すべきだ。

3. 実績を確認する

どのような機器やサービスに対応できるか、過去の実績を確認することが大切。特に暗号資産や海外サービスの経験は重要だ。

4. 家族と相談する

デジタル遺品整理は、プライバシーに関わる部分も多い。事前に家族とよく相談し、どこまで調査するか決めておくことが大切だ。

まとめ:予想外の発見が人生を変えた

父のパソコンから3,000万円の暗号資産が見つかった時の衝撃は、今でも忘れられない。もしあのまま放置していたら、この資産は永遠に失われていただろう。

デジタル資産バトンのサービスを利用して本当に良かった。確かに費用はかかったが、それ以上の価値があった。技術力の高さ、セキュリティへの配慮、そして何より、諦めずに最後まで調査してくれた姿勢に感謝している。

現代では、多くの人がデジタル資産を持っている。SNSのアカウント、写真や動画、そして金融資産。これらは適切に管理・継承されなければ、簡単に失われてしまう。

私の経験が、同じような状況にある方の参考になれば幸いだ。大切な人が残したデジタル資産には、思いもよらない価値が眠っているかもしれない。

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