引っ越し先の新居で、リビングに置くテーブルを探していた時のこと。大手家具店を10軒以上回っても、どれも似たようなデザインばかりで、「これだ!」と思える一品に出会えなかった

そんな時、友人の家を訪れて衝撃を受けた。無骨な鉄脚に温かみのある木の天板を組み合わせたダイニングテーブル。聞けば、日本の職人に直接オーダーして作ってもらったという。

「え、そんなことできるの?」

その一言から始まった私のKanaete体験は、予想をはるかに超えるものだった。

Kanaeteとは?100以上の職人ブランドが集まる場所

Kanaete(カナエテ)は、日本全国の職人や作り手によるこだわりの家具・インテリアが集まるマーケットプレイスだ。鉄工所、木工房、陶芸家など、様々な分野のプロフェッショナルが参加している。

最初は「職人に直接頼むなんて、きっと高いんだろうな」と思っていた。でも実際にサイトを見てみると、アイアンテーブルが8,580円からという価格設定に驚いた。量産品と変わらない、いやむしろ安いものもある。

3つの使い方で、自分だけの一品を手に入れる

Kanaeteには主に3つの使い方がある:

  1. えらぶ:既製品から好みの商品を選ぶ(サイズオーダー可能な商品多数)
  2. つくる:完全オーダーメイドで理想の家具を作ってもらう
  3. こだわる:鉄板や木材を好きなサイズでカット注文

私の場合、最初は「えらぶ」から始めた。でも、サイトを見ているうちに「自分の部屋にピッタリのサイズで作ってもらいたい」という欲求が湧いてきた。

実際に注文してみた!アイアンテーブルのセミオーダー体験

まず選んだのは、人気No.1の「アイアンスタイルテーブル」。基本デザインはそのままに、幅を110cmから130cmに変更してもらうことにした。

注文プロセスは意外なほどシンプルだった:

  • 商品ページでサイズ変更オプションを選択
  • 希望のサイズを入力
  • 追加料金が自動計算される(私の場合は+3,200円)
  • 注文確定

ここで感動したのは、職人さんから直接メッセージが届いたこと。「ご注文ありがとうございます。130cmでしたら、脚の位置を少し内側に調整した方が安定感が増します。いかがでしょうか?」

量販店では絶対に体験できない、プロからの提案。これだけで「良いものを買った」という満足感があった。

他社サービスとの違いは?Creema・BASEと徹底比較

正直に言うと、最初はCreemaやBASEも検討した。実際に3つのサービスを使ってみた結果を表にまとめてみた:

項目 Kanaete Creema BASE
家具の充実度 ◎ 専門的 ○ 幅広い △ 少ない
サイズオーダー ◎ 多数対応 △ 一部のみ × ほぼなし
職人との距離 ◎ 近い ○ 普通 △ 遠い
価格帯 8,000円〜 3,000円〜 1,000円〜

Creemaは確かに作家数が多く、小物やアクセサリーを探すなら最適だ。でも大型家具のサイズオーダーとなると、対応している出品者が限られる

BASEは個人でも簡単に出店できるため玉石混交。品質の見極めが難しく、家具のような高額商品を買うには不安があった。

一方、Kanaeteは家具・インテリアに特化している分、専門性が高い。職人の顔が見えて、制作工程まで確認できるのは大きな安心材料だった。

届いたテーブルの品質は?3ヶ月使用後の本音レビュー

注文から約3週間後、ついにテーブルが到着。段ボールを開けた瞬間、鉄の重厚感と匂いが漂ってきた。

組み立ては思ったより簡単。天板に脚を4本ボルトで固定するだけ。でも、その脚の作りが違う。溶接部分の美しさ、塗装の均一さ、どれをとっても量産品とは別次元だった。

3ヶ月使ってわかった良い点・気になる点

良かった点:

  • ガタツキが一切ない安定感
  • 傷がついても味になる鉄の質感
  • 来客時の「このテーブルどこの?」率100%
  • 重量があるので子供が動かせない(安全)

気になった点:

  • 想像以上に重い(一人での移動は困難)
  • 床に傷防止パッドが必須
  • 湿気の多い場所では錆対策が必要

特に印象的だったのは、友人を招いた時の反応。「このテーブル、どこで買ったの?」と必ず聞かれる。「職人さんにオーダーしたんだ」と答える時の優越感は、正直クセになる。

完全オーダーメイドにも挑戦!棚板の制作依頼

テーブルの満足度が高かったので、次は完全オーダーメイドに挑戦することにした。リビングの壁に、本と観葉植物を飾る棚が欲しかった。

Kanaeteの「つくる」機能から相談を開始。以下の要望を伝えた:

  • 幅150cm、奥行き25cmの棚板3段
  • アイアンの枠組みに木の棚板
  • 壁に直接取り付け可能な設計
  • 予算は5万円以内

すると、3つの工房から提案が届いた。それぞれ:

  1. A工房:シンプルなL字金具タイプ(28,000円)
  2. B工房:フレーム一体型のデザイン(45,000円)
  3. C工房:可動棚付きの多機能型(52,000円)

各工房とも、ラフスケッチや過去の施工例を送ってくれた。最終的にB工房を選んだ理由は、提案の丁寧さと、壁の材質まで確認してくれたプロ意識の高さだった。

Kanaeteを使う前に知っておきたい注意点

良いことばかり書いてきたが、実際に使ってみて感じた注意点もある:

1. 納期は長めに見ておく

職人さんが一つ一つ手作りするため、納期は2〜4週間が基本。急ぎの場合は不向きだ。私の場合、棚は注文から5週間かかった(繁忙期だったため)。

2. 送料が意外とかかる

大型家具の場合、送料が5,000〜10,000円かかることも。商品価格だけでなく、総額で予算を考える必要がある

3. 返品・交換は基本的に不可

オーダー品のため、「イメージと違った」という理由での返品はできない。事前の確認が何より重要だ。

4. 職人によって対応に差がある

コミュニケーションが得意な職人もいれば、寡黙な職人もいる。相性もあるので、最初の問い合わせで判断することも大切。

こんな人にKanaeteはおすすめ

実際に使ってみて、Kanaeteが向いている人・向いていない人がはっきりした:

【向いている人】

  • 量産品では物足りない人
  • 部屋のサイズに合った家具が欲しい人
  • 職人の技術や想いに価値を感じる人
  • 多少高くても長く使える物を選びたい人
  • 家具選びのプロセスも楽しみたい人

【向いていない人】

  • とにかく安さ重視の人
  • すぐに家具が必要な人
  • 頻繁に模様替えをする人
  • メールでのやり取りが苦手な人

素材カットサービスも便利!DIY派には「こだわる」機能

最近発見したのが、Kanaeteの「こだわる」機能。鉄板や木材を好きなサイズでカットして届けてくれるサービスだ。

試しに、キッチンの隙間収納を作るため、18mm厚の集成材を注文してみた:

  • 600mm×300mm:2枚
  • 600mm×280mm:3枚
  • 280mm×280mm:2枚

ホームセンターでカットしてもらうより精度が高く、切断面もきれいに処理されていた。DIYが趣味の人には、かなり重宝するサービスだと思う。

職人マップで見つけた、地元の工房訪問体験

Kanaeteのサイトには「日本全国つくり手マップ」という機能がある。自分の住んでいる地域にどんな職人がいるか一目でわかる。

地図を見ていたら、なんと車で30分の場所に鉄工房があることを発見。思い切って工房見学を申し込んでみた。

実際に訪れてみると、職人さんが溶接している姿を間近で見られた。火花が散る中、一つ一つ丁寧に作業する姿は圧巻。「こうやって自分のテーブルも作られたんだ」と思うと、愛着が倍増した。

1年間使い続けて感じる、本当の価値

Kanaeteで最初の買い物をしてから1年。我が家には職人製の家具が5点に増えた。

  • アイアンテーブル(セミオーダー)
  • 壁付け棚(フルオーダー)
  • 真鍮の一輪挿し
  • ティッシュケース
  • アウトドア用の焚火台

合計金額は15万円を超える。正直、IKEAなら半額以下で揃えられただろう。

でも、毎日使うたびに感じる満足感。友人に自慢できる優越感。そして何より、「日本の職人技術を応援している」という充実感。これらは金額では測れない価値だ。

Kanaeteの今後に期待すること

素晴らしいサービスだが、まだ改善の余地もある:

  1. AR機能の追加:部屋に置いた時のイメージが見られると嬉しい
  2. 分割払い対応:高額商品も買いやすくなる
  3. ショールーム増設:実物を見られる場所がもっと欲しい
  4. アフターサービス充実:メンテナンス方法の動画など

最後に:「既製品で妥協」する前に、一度は使ってみて

新生活や模様替えで家具を探している人は多いと思う。量販店を回って「まあ、これでいいか」と妥協しそうになったら、一度Kanaeteを覗いてみてほしい。

確かに既製品より高い。納期もかかる。でも、本当に気に入った物に囲まれて暮らす満足感は、想像以上に大きい

私の場合、毎朝コーヒーを飲むテーブルが、一日の始まりを特別なものにしてくれている。「このテーブルを作ってくれた職人さん、今日も工房で作業してるのかな」なんて想像しながら。

量産品にはない、作り手の顔が見える買い物。それがKanaeteの最大の魅力だと、1年使ってみて確信している。