朝5時。また母の叫び声で目が覚めた。これで今週3回目だ。正直、もう限界だと思った瞬間、ふとスマホで見つけたのが「クラウドケア」という聞き慣れないサービスだった。

あれから8ヶ月。今では週3回、プロのヘルパーさんが来てくれるおかげで、私は仕事に復帰できた。でも、最初は半信半疑だった。本当に信頼できるのか?料金は?母は受け入れてくれるのか?

今回は、実際にクラウドケアを利用している私の体験を、包み隠さずお伝えしたい。良い点も、正直微妙だった点も全部書く。

クラウドケアって何?普通の訪問介護と何が違うの?

まず、クラウドケアについて簡単に説明すると、スマホアプリで介護ヘルパーをマッチングしてくれるサービスだ。Uberの介護版みたいなものと言えばわかりやすいかもしれない。

クラウドケア公式サイト

従来の訪問介護事業所との大きな違いは:

  • 24時間365日対応可能(夜間や休日も)
  • 1時間単位で利用可能(最短1時間から)
  • ヘルパーの顔写真とプロフィールを事前に確認できる
  • アプリで簡単予約・キャンセル
  • 介護保険外サービスなので、自由度が高い

特に「介護保険外」という点が重要で、介護認定を受けていない人でも利用できるし、介護保険の枠を超えたサービスも受けられる。

実際に使ってみて分かった、クラウドケアの本音レビュー

良かった点:予想以上に柔軟で使いやすい

正直、最初は「素人みたいな人が来たらどうしよう」と不安だった。でも実際は登録ヘルパーの約7割が介護資格保持者で、プロフィールで資格も確認できる。

私の母を担当してくれているAさんは、介護福祉士の資格を持つベテラン。以前は特養で10年働いていたそうだ。「施設だと一人一人にじっくり向き合えないけど、クラウドケアなら利用者さんのペースに合わせられる」と話していた。

特に助かったのは:

🌟 急な依頼にも対応してくれた

先月、私が急に出張が決まった時、前日の夜にアプリで依頼したら、翌朝には来てくれるヘルパーさんが見つかった。従来の事業所だと「急には無理です」と断られることが多かったので、これは本当に助かった。

微妙だった点:料金と人によるバラツキ

一方で、正直に言うと料金は決して安くない。1時間あたり2,500〜4,000円程度かかる。介護保険を使えば1〜3割負担で済むところを、全額自己負担になるからだ。

我が家の場合、週3回×3時間利用で月額約10万円。これに加えて交通費もかかる。経済的にはかなり負担が大きい。

また、ヘルパーさんの質にもバラツキがある。5人ほど試したが、2人は正直「うーん...」という感じだった。特に若い男性ヘルパーは、母の着替え介助を嫌がられてしまい、結局お断りした。

クラウドケアサービス詳細

クラウドケアはこんな人におすすめ(逆に向かない人も)

8ヶ月使ってみて、クラウドケアが向いている人と向いていない人がはっきりしてきた。

向いている人

  • 仕事と介護の両立に悩んでいる人:柔軟な時間設定が可能
  • 介護保険の認定がまだの人:すぐに利用開始できる
  • 一時的に介護の手が必要な人:退院直後など
  • 夜間や休日のサポートが必要な人:24時間対応
  • 相性の良いヘルパーを選びたい人:プロフィール確認可能

向いていない人

  • 費用を抑えたい人:全額自己負担は高額
  • 医療的ケアが必要な人:対応できるヘルパーが限られる
  • 認知症が進行している人:毎回違う人だと混乱する可能性
  • 地方在住の人:サービス提供エリアが限定的

他の訪問介護サービスとの比較

クラウドケアを検討する際、他のサービスとも比較した。主な選択肢は以下の3つだった。

サービス名 クラウドケア ニチイ学館 ベネッセスタイルケア
料金(1時間) 2,500〜4,000円 2,200〜3,500円 3,000〜4,500円
対応時間 24時間365日 8:00〜18:00 7:00〜22:00
最短利用時間 1時間〜 2時間〜 1.5時間〜
予約方法 アプリで簡単 電話・メール 電話・Web
ヘルパー指名 可能 原則不可 相談可
対応エリア 首都圏中心 全国 主要都市

ニチイ学館は大手で安心感があるが、融通が利きにくい。ベネッセは質は高いが料金も高め。クラウドケアは「柔軟性」では圧倒的に優れているが、地方だと使えないのがネック。

実際の利用シーン:我が家の1日

具体的にどんな風に使っているか、ある日の様子を紹介する。

月曜日(Aさん担当)

9:00:Aさん到着。母の体調確認から始まる
9:15:朝食の準備と食事介助
10:00:入浴介助(これが一番助かる!)
11:00:洗濯物を干して、部屋の掃除
11:45:昼食の下準備をして終了

Aさんは「今日はお母様の顔色が良いですね」など、細かい変化にも気づいてくれる。私一人では見落としがちな部分だ。

特に入浴介助は本当に助かっている。80歳を超えた母を一人でお風呂に入れるのは、正直怖い。転倒のリスクもあるし、体力的にもきつい。プロの手を借りられるのは安心だ。

料金について詳しく:実際いくらかかるの?

料金体系は少し複雑なので、詳しく説明する。

基本料金

  • 平日日中(8:00〜18:00):1時間2,500円〜
  • 早朝・夜間(6:00〜8:00、18:00〜22:00):1時間3,000円〜
  • 深夜(22:00〜6:00):1時間3,500円〜
  • 土日祝日:基本料金+500円

追加料金

  • ヘルパー指名料:1回500円
  • 直前予約(24時間以内):+20%
  • 交通費:実費(大体往復500〜1,000円)

我が家の場合、月曜・水曜・金曜の週3回、各3時間利用で:

2,500円 × 3時間 × 12回 + 交通費6,000円 = 月額96,000円

これに指名料を入れると10万円を超える。決して安くはない。でも、私が仕事を続けられることを考えれば、投資する価値はあると判断した。

登録から利用開始までの流れ

実際に使い始めるまでの手順も紹介しておく。

  1. アプリダウンロード&会員登録(5分程度)
    • 基本情報と介護を受ける人の状態を入力
    • 本人確認書類のアップロード
  2. 初回面談の予約(オンラインも可)
    • サービス内容の説明を受ける
    • 要望や不安な点を相談
  3. ヘルパーの検索・予約
    • 条件に合うヘルパーを検索
    • プロフィールを確認して予約
  4. サービス利用
    • 初回は必ず立ち会い
    • サービス内容の確認と調整

私の場合、登録から初回利用まで3日で完了した。従来の訪問介護事業所だと2週間はかかるので、このスピード感は驚きだった。

クラウドケア申込み

トラブルや困ったことはあった?

8ヶ月使ってきて、いくつかトラブルもあった。包み隠さず書く。

ケース1:ドタキャンされた

一度だけ、ヘルパーさんが体調不良で当日キャンセルになった。代わりの人を探してくれたが、到着が2時間遅れた。仕事の会議を途中で抜けることになり、正直困った。

ケース2:物がなくなった?

母が「財布がない」と騒いだことがあった。ヘルパーさんを疑ってしまい申し訳なかったが、結局ベッドの隙間から出てきた。クラウドケアでは損害保険に加入しているので、万が一の時も補償があるのは安心材料だ。

ケース3:相性が合わない

最初に来たBさんは、仕事は丁寧だったが母との相性が良くなかった。「なんか怖い」と母が嫌がったので、違う人に変更。簡単にヘルパーを変更できるのはクラウドケアの良い点だ。

家族の反応:最初は反対されたけど...

「知らない人を家に入れるなんて」と、最初は兄も反対だった。特に料金の高さがネックだった。でも、私が倒れたらもっと大変になることを説明し、まずは1ヶ月試すことに。

結果、今では兄も「これがなかったら、母さんを施設に入れるしかなかった」と言っている。何より母自身が「Aさんが来る日は楽しみ」と言ってくれるようになったのが嬉しい。

認知症の初期症状もある母だが、決まった曜日に決まった人が来ることで、生活にリズムができた。「今日は月曜日だからAさんが来る日ね」と、曜日感覚も保てている。

クラウドケアのメリット・デメリットまとめ

メリット

  • 24時間365日対応で急な依頼もOK
  • 1時間から利用可能で無駄がない
  • ヘルパーを選べるから相性の良い人を見つけられる
  • アプリで簡単予約、変更も楽
  • 介護保険の認定不要ですぐ使える
  • 買い物代行や話し相手など柔軟なサービス

デメリット

  • 料金が高い(全額自己負担)
  • ヘルパーの質にバラツキがある
  • 対応エリアが限定的(首都圏中心)
  • 医療行為は不可(たん吸引など)
  • 定期巡回型には向かない
クラウドケア体験

よくある質問(実体験から回答)

Q: 本当に安全?信頼できる?

A: 私も最初は不安だった。でも、ヘルパー登録時に身元確認や研修があるし、サービス実施中は損害保険・傷害保険でカバーされている。8ヶ月使って大きなトラブルはない。

Q: ヘルパーの質は?素人じゃないの?

A: 登録ヘルパーの約7割が介護資格保持者。プロフィールで資格や経験年数も確認できる。ただし、人によって差があるのは事実。

Q: 急なキャンセルはできる?

A: 24時間前までは無料でキャンセル可能。それ以降はキャンセル料がかかる(50〜100%)。

Q: 介護保険は使える?

A: 使えない。完全に自費サービス。ただし、医療費控除の対象にはなる可能性があるので、領収書は保管しておこう。

Q: 地方でも使える?

A: 現在は首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉の一部)のみ。地方展開を期待したい。

8ヶ月使ってみた総評:高いけど、それだけの価値はある

正直、月10万円は痛い出費だ。でも、私が仕事を続けられること、母が自宅で穏やかに過ごせること、家族関係が保たれることを考えれば、十分に価値があると思っている。

クラウドケアは万能ではない。料金は高いし、ヘルパーの当たり外れもある。でも、「介護で人生を諦めたくない」という人にとっては、強力な選択肢になる。

特に、仕事をしながら介護をしている人、介護離職を考えている人は、一度試してみる価値がある。最初は週1回、1時間からでも始められる。

私の場合、クラウドケアがなければ、きっと仕事を辞めていた。そして、母との関係も今より悪くなっていたと思う。プロの手を借りることで、私は「娘」として母と向き合える時間が増えた。これが一番大きな収穫かもしれない。

最後に:介護は一人で抱え込まないで

介護は長期戦だ。最初は「自分が頑張れば」と思っても、いずれ限界が来る。私も「他人に任せるなんて」と罪悪感を感じていた。

でも、プロの力を借りることは、決して「介護放棄」ではない。むしろ、持続可能な介護のために必要な選択だ。

クラウドケアが全ての人に合うとは限らない。でも、選択肢の一つとして知っておいて損はない。まずは無料の初回相談だけでも受けてみてはどうだろうか。

あの朝5時の叫び声で目覚めた日から8ヶ月。今でも介護は大変だ。でも、一人じゃないと思えるようになった。それだけでも、大きな前進だと思っている。