深夜2時、母の激しい咳き込みで目が覚めた。救急車を呼び、一人で付き添った搬送先の病院。朝まで待合室で過ごし、そのまま仕事へ。この日を境に、私は介護保険だけでは限界があることを痛感した

それから3ヶ月、藁にもすがる思いで利用を始めたのが「クラウドケア」という介護保険外サービスだった。正直、最初は半信半疑だった。しかし実際に使ってみると、想像以上に柔軟で、まさに「かゆいところに手が届く」サービスだということが分かった。

クラウドケアとは?従来の訪問介護との決定的な違い

クラウドケアは、介護保険の枠にとらわれない自費の訪問サービス。最大の特徴は、その圧倒的な柔軟性にある。

例えば、こんな時に利用できる:

  • 深夜や早朝の急な体調不良時の付き添い
  • 病院での長時間の待ち時間中の見守り
  • 冠婚葬祭への同行
  • 趣味活動への付き添い
  • ペットの世話や植木の水やり

介護保険では「生活に必要不可欠」と認められないこれらのサービスも、クラウドケアなら対応可能。月1回、1時間からでも利用できるという点も、私のような働きながら介護をする人間にとってはありがたかった。

実際に使って分かった料金体系の透明性

気になる料金だが、基本的に時給1,500円〜2,000円。ヘルパーの資格や経験によって変動し、最高で時給3,000円を超えることもある。

資格 時給
無資格 1,500円〜
介護職員初任者研修 1,600円〜
介護福祉士 1,650円〜
看護師 1,700円〜

正直、最初は「高い」と感じた。しかし、深夜の急な対応や休日の長時間付き添いなど、介護保険では絶対にカバーできない部分を考えると、むしろ妥当だと思うようになった。

3ヶ月使って感じたメリット・デメリット

良かった点

1. レスポンスの速さ
急な依頼でも対応してくれるヘルパーが見つかりやすい。特に都心部では、前日や当日の依頼でも8割以上マッチングできた。

2. ヘルパーの質の高さ
正直驚いたのが、ヘルパーさんの対応力。母の認知症特有の繰り返し質問にも根気強く付き合ってくれ、まるで家族のような温かさを感じることが何度もあった。

3. 細かなニーズへの対応
「買い物の際、必ず賞味期限を確認してほしい」「薬を飲む時は必ず目の前で確認してほしい」など、細かい要望にも柔軟に対応してくれた。

クラウドケア

改善してほしい点

1. 地域による格差
東京23区内では問題なかったが、実家のある埼玉県の一部地域では、対応可能なヘルパーが限られていた。

2. ヘルパーによる当たり外れ
9割は素晴らしい方だったが、中には時間にルーズな方や、コミュニケーションが苦手な方もいた。ただし、評価システムがあるため、次回から指名を避けることは可能

3. 料金の積み重なり
週2〜3回、各2時間利用すると、月額で5〜6万円程度かかる。介護保険と併用しても、経済的負担は小さくない。

他社サービスとの比較:なぜクラウドケアを選んだか

実は利用前に、他の類似サービスも検討した。主な比較対象は「ダスキンライフケア」と「ニチイライフ」だった。

項目 クラウドケア ダスキンライフケア ニチイライフ
最低利用時間 1時間〜 2時間〜 1.5時間〜
料金(1時間) 1,500円〜 3,300円〜 2,860円〜
対応の柔軟性
ヘルパー指名 可能 要相談 可能

クラウドケアを選んだ決め手は、圧倒的な価格優位性と利用時間の柔軟性だった。特に「1時間から利用可能」という点は、他社にはない大きな魅力だった。

実際の利用シーン:こんな時に本当に助かった

【ケース1】深夜の転倒事故
午前3時、母がトイレで転倒。幸い大事には至らなかったが、朝まで見守りが必要だった。クラウドケアに連絡すると、1時間以内にヘルパーさんが到着。私は翌日の仕事に備えて休むことができた。

【ケース2】親戚の結婚式への同行
車椅子の母を連れて、片道2時間の結婚式場へ。介護保険では対応不可だが、クラウドケアなら問題なく対応。式の間もずっと付き添ってくれ、母も久しぶりに親戚と会えて喜んでいた

【ケース3】入院中の付き添い
検査入院中、24時間の付き添いが必要に。3日間、日中と夜間でヘルパーさんを交代で依頼。費用は掛かったが、仕事を休まずに済んだ。

💡 利用のコツ

・初回は短時間(1〜2時間)で試す
・良いヘルパーさんは早めに指名予約
・定期利用なら曜日・時間を固定すると安定
・緊急時用に2〜3人のお気に入り登録を

クラウドケアのヘルパー採用基準と研修体制

サービスの質を左右するヘルパーの採用・教育体制についても調べてみた。クラウドケアでは、無資格者でも応募可能だが、必ず面接と研修を実施している。

実際に担当してくれたヘルパーさんに聞いたところ、「最初は不安だったが、研修で基本的な介助方法を学べた」とのこと。また、困った時はいつでも事務局に相談できる体制が整っているという。

ただし、やはり有資格者の方が安心感は大きい。特に医療的な知識が必要な場面では、看護師資格を持つヘルパーさんを指名することが多かった。

利用開始までの流れと注意点

1. 会員登録(約5分)
スマートフォンかPCから基本情報を入力。本人確認書類のアップロードが必要。

2. 初回面談(電話・約30分)
利用者の状態や希望を詳しくヒアリング。この時点で不安な点は全て確認しておくことをお勧めする。

3. ヘルパーマッチング
条件に合うヘルパーを提案してもらえる。プロフィールを見て選択可能。

4. サービス開始
初回は必ず立ち会い、引き継ぎ事項を直接伝える。この時の印象が今後の利用満足度を大きく左右する。

クラウドケア申込み

トラブル対応と保険制度

気になるトラブル対応だが、クラウドケアは損害保険と傷害保険の両方に加入している。実際、我が家でも一度、ヘルパーさんが誤って花瓶を割ってしまったことがあったが、速やかに弁償してもらえた。

また、サービス後は必ず評価システムでフィードバックを送る仕組みになっている。低評価が続くヘルパーは、マッチングから外されるため、全体的なサービス品質は保たれている印象だ。

こんな人にはおすすめしない

3ヶ月使ってみて、クラウドケアが合わない人もいると感じた。

  • 費用を最優先に考える人:やはり介護保険と比べると高額
  • 毎日定時のサービスが必要な人:むしろ介護保険の訪問介護の方が安定的
  • 医療行為が必要な人:看護師資格者もいるが、医療行為は原則不可

まとめ:介護保険の「隙間」を埋める存在として

クラウドケアを使い始めて3ヶ月。正直、「もっと早く知っていれば」と思うことが何度もあった。特に、仕事と介護の両立に悩む人にとって、このサービスは救世主になり得る。

確かに費用面での負担は大きい。しかし、介護離職を防ぎ、自分の人生を諦めずに済むという価値を考えれば、決して高くはないと感じている。

母も最近は特定のヘルパーさんを心待ちにするようになった。「今日は〇〇さん来る日?」と聞いてくる姿を見ると、このサービスを選んで本当に良かったと思う。

介護保険だけでは限界を感じている人、仕事との両立に悩んでいる人は、一度試してみる価値はある。最初は1時間の利用から始められるので、ハードルも低い。

私のように深夜の緊急事態で途方に暮れる前に、選択肢の一つとして知っておいてほしい。介護は長期戦だ。全てを一人で抱え込む必要はないのだから。