英検2級の試験会場から出てきた瞬間、また落ちたことを確信した。これで3回目だ。周りの受験生たちが楽しそうに問題の答え合わせをしている中、私は黙って会場を後にした。

「もう英語の勉強なんてやめよう」

そう思っていた2023年の夏、同僚から聞いた一言が私の人生を変えることになるとは思ってもいなかった。

「桐原書店って知ってる?教科書作ってる会社がオンライン英会話始めたらしいよ」

教科書会社が作った英語学習サービスの真実

桐原書店といえば、日本の学校教育で使われる教科書を55年間作り続けてきた老舗出版社だ。私も高校時代、桐原の英語教科書にお世話になった記憶がある。

そんな伝統ある会社が、なぜ今更オンライン英会話に参入したのか?調べてみると、そこには意外な理由があった。

55年間の教材開発で見えてきた「学習の壁」

桐原書店は長年の教材開発を通じて、ある深刻な問題に直面していた。それは「どんなに優れた教材を作っても、継続できない学習者が8割以上いる」という現実だった。

実際、私もその8割の一人だった。本棚には買ったまま開いていない参考書が10冊以上並んでいる。

KIRIHARA Online Academyの特徴を徹底解剖

半信半疑で始めたKIRIHARA Online Academy(以下、KOA)だったが、従来のオンライン英会話とは明らかに違う点がいくつもあった。

1. たった2ヶ月という異例の短期集中プログラム

多くのオンライン英会話が「月額制で好きなだけ」という形式を取る中、KOAは2ヶ月完結の買い切り型という独特のシステムを採用している。

最初は「2ヶ月で何ができるの?」と疑問だったが、実際に受講してみると、この期間設定には深い意味があることがわかった。

  • 人間の集中力が維持できる限界期間
  • 試験までの準備期間として現実的
  • ダラダラ続けることを防ぐ仕組み

2. 日本人講師によるマンツーマン指導の意外な効果

正直に言うと、最初は「ネイティブ講師じゃないの?」と少しがっかりした。しかし、これが大きな間違いだったことに気づくのに時間はかからなかった。

日本人講師だからこそ、「なぜ日本人がそこでつまずくのか」を熟知している。特に英検の面接対策では、日本人特有の弱点を的確に指摘してもらえた。

実際の受講体験:8週間の記録

第1週:衝撃的なカリキュラムの中身

初回レッスンで渡されたカリキュラムを見て、正直驚いた。そこには試験当日までの毎日のタスクが細かく記載されていた。

「月曜日:単語帳p.23-30、火曜日:リスニング問題集Track5-8...」

まるで学校の時間割のような細かさだが、これが後に大きな効果を生むことになる。

第3週:挫折しそうになった瞬間

仕事が忙しくなり、3日間宿題をサボってしまった。次のレッスンで講師に怒られるかと思いきや、意外な言葉が返ってきた。

「大丈夫ですよ。みんな一度は挫折しかけます。でも、ここからが本番です」

そして、遅れを取り戻すためのリカバリープランを一緒に考えてくれた。この柔軟な対応は、機械的なカリキュラムでは得られない人間味のあるサポートだった。

第6週:変化を実感し始めた瞬間

ある日、英語のニュースを見ていて気づいた。「あれ?前より聞き取れてる」

特に意識していなかったが、毎日の音読トレーニングの効果が出始めていた。KOAが採用している音読メソッドは、単なる試験対策ではなく、本質的な英語力向上を目指していることがわかった。

他社サービスとの徹底比較

KOAを検討する際、他の有名なオンライン英会話サービスとも比較検討した。その結果を表にまとめてみた。

項目 KIRIHARA Online Academy レアジョブ英会話 DMM英会話
料金体系 2ヶ月買い切り(33,000円〜) 月額制(4,980円〜) 月額制(5,450円〜)
講師 日本人講師のみ フィリピン人講師中心 多国籍(120カ国以上)
カリキュラム 固定カリキュラム(試験対策特化) 自由選択 自由選択
レッスン回数 全8回(週1回) 毎日可能 毎日可能
教材 桐原書店オリジナル教材 オンライン教材 オンライン教材
学習管理 講師による徹底管理 自己管理 自己管理

価格だけで判断すると見落とすポイント

表を見ると、KOAは他社と比べて明らかに高い。2ヶ月で33,000円という価格は、月額制のサービスと比較すると3〜6倍にもなる。

しかし、実際に両方を経験した私から言わせてもらうと、この価格差には理由がある。

  • 月額制の罠:「いつでもやめられる」という安心感が、逆に「今日はいいか」という甘えを生む
  • 講師の質の違い:試験対策に特化した日本人講師と、日常会話中心の外国人講師では、目的が全く違う
  • 強制力の有無:宿題チェックや進捗管理があるかないかで、継続率が大きく変わる

KIRIHARA Online Academyの本当のデメリット

ここまで良い面ばかり書いてきたが、実際に使ってみて感じたデメリットも正直に書いておきたい。

1. スケジュールの自由度が低い

週1回のレッスンは基本的に同じ曜日・同じ時間で固定される。仕事で出張が多い人には厳しいかもしれない。私も一度、出張と重なってレッスンを変更してもらったが、振替は月1回までという制限があった。

2. 英会話の練習量は少ない

週1回50分のレッスンでは、純粋な英会話の練習時間は限られる。日常会話を流暢に話せるようになりたい人には向いていない。あくまで試験対策に特化したサービスだ。

3. 講師を選べない

最初に担当になった講師が最後まで担当する。相性が合わない場合のリスクはある。私は幸運にも良い講師に当たったが、友人は「もっと厳しい講師が良かった」と言っていた。

4. 教材費が別途必要

コース料金とは別に、桐原書店の教材を購入する必要がある。だいたい3,000〜5,000円程度の追加費用がかかる。

早川幸治(Jay)先生監修の秘密

KOAのカリキュラムを監修しているのは、TOEIC界では知らない人はいない早川幸治(Jay)先生だ。

実は、私がKOAに決めた理由の一つがこれだった。Jay先生の著書「TOEIC L&R TEST 出る単特急」は、TOEIC学習者のバイブルとも言える存在だ。

Jay先生のメソッドが随所に感じられる点:

  • 単語の覚え方が「文脈」重視
  • リスニングは「音の変化」に注目
  • 時間配分の重要性を徹底的に叩き込まれる

実際の成果:私の場合

2ヶ月のコースを終えて、4回目の英検2級に挑戦した。

結果は...合格。しかも、前回より20点以上スコアが上がっていた。

特に変化を感じたのは以下の点:

  • リスニングの正答率が60%→85%に向上
  • ライティングで時間が余るようになった
  • 面接では緊張せずに自分の意見を言えた

ただし、これはあくまで私個人の結果だ。同じコースを受けた知人の中には、「思ったほど伸びなかった」という人もいた。

どんな人に向いている?向いていない?

KOAに向いている人

  • 明確な目標がある人(英検○級合格、TOEIC○○点など)
  • 自己管理が苦手で、誰かに管理してもらいたい人
  • 短期集中で結果を出したい人
  • 日本語で質問したい人
  • 試験のコツやテクニックを知りたい人

KOAに向いていない人

  • のんびりマイペースで学習したい人
  • ネイティブとの会話を楽しみたい人
  • 予算を抑えたい人
  • 毎日レッスンを受けたい人
  • ビジネス英語や日常会話を学びたい人

申込前に知っておくべき注意点

1. 体験レッスンは1回のみ

無料体験レッスンは1回だけ。この1回で講師との相性や教材の質を判断しなければならない。できれば事前に質問したいことをメモしておくことをおすすめする。

2. 返金制度はない

2ヶ月分の料金を前払いするが、途中でやめても返金はない。始める前に本当に2ヶ月続けられるか、スケジュールを確認しておく必要がある。

3. 通信環境の準備

2024年4月からGoogle Meetに移行したが、安定した通信環境は必須。私は一度、カフェから受講しようとして音声が途切れ途切れになり、レッスンにならなかった経験がある。

競合サービスとの詳細比較:スタディサプリENGLISH

KOAと同じく試験対策に強いサービスとして、スタディサプリENGLISHも検討した。

比較項目 KIRIHARA Online Academy スタディサプリENGLISH
学習形式 オンラインレッスン+自習 アプリ完結型
講師サポート あり(マンツーマン) なし(AI判定)
料金 2ヶ月33,000円〜 月額3,278円
学習継続率 高い(講師の管理あり) 個人差大(自己管理)
カスタマイズ性 低い(固定カリキュラム) 高い(自由に選択)

スタディサプリは確かに安くて手軽だが、「一人で続けられるか」が最大の課題。私も以前使っていたが、3週間で挫折した苦い思い出がある。

まとめ:2ヶ月で人生が変わるか?

「たった2ヶ月で英語力が劇的に向上する」なんて魔法はない。KOAも例外ではない。

しかし、「2ヶ月間、効率的に学習を継続できる仕組み」は確かに存在した。それがKOAだった。

3回も英検に落ちた私が4回目で合格できたのは、以下の3つの要因があったからだと思う:

  1. 明確な期限設定(2ヶ月という制限)
  2. プロによる学習管理(日本人講師のサポート)
  3. 実績ある教材とメソッド(桐原書店×Jay先生)

もちろん、万人に効果があるわけではない。でも、もしあなたが:

  • 何度も英語学習に挫折している
  • 試験まで時間がない
  • 独学に限界を感じている

という状況なら、KOAは一つの選択肢として検討する価値はある。

ただし、覚悟は必要だ。2ヶ月間、本気で取り組む覚悟が。

私の場合、その覚悟が4回目の正直につながった。あなたの場合はどうだろうか?

※本記事は筆者の個人的な体験に基づくレビューです。効果には個人差があります。