「また落ちた...」妻の落胆した声が、狭いアパートの部屋に響いた。製造業への転職活動を始めて3ヶ月、私たちは12社目の不採用通知を受け取ったところだった。

家族で住める寮付きの仕事を探していた私たち。しかし、どの派遣会社も「単身寮のみ」「カップル不可」の回答ばかり。月収35万円を提示してくれた某大手派遣会社も、結局は「家族寮はありません」の一言で諦めざるを得なかった。

想定外の出会い:ココカラ・ワークとの遭遇

そんな時、偶然目にしたのがココカラ・ワークの求人だった。正直、最初は期待していなかった。「どうせまた単身寮だけでしょ」と思いながら、ダメ元で問い合わせてみた。

電話に出たアドバイザーの言葉に、私は耳を疑った。「家族寮?はい、空き部屋ありますよ。ペットも相談可能です」

あまりにもあっさりとした返答に、逆に不安になったくらいだ。これまでの経験から、条件が良すぎる話には必ず裏があると思っていた。

他社との比較:なぜココカラ・ワークだったのか

実際に利用してみて分かったことだが、製造業派遣の大手3社を比較すると、違いは歴然としていた。

項目 ココカラ・ワーク A社(業界最大手) B社(中堅派遣)
家族寮の有無 ○(ペット相談可) ×(単身寮のみ) △(一部のみ)
土日休み案件 全体の約70% 全体の約30% 全体の約40%
残業なし高収入案件 時給1,500円以上多数 時給1,300円程度(残業込み) 時給1,400円程度
対応スピード 最短3日で勤務開始 約2週間 約10日
社会保険 入社2ヶ月目から 入社3ヶ月目から 入社2ヶ月目から

数字だけ見れば、ココカラ・ワークの優位性は明らかだった。でも、実際に働いてみるまで半信半疑だったのも事実だ。

実際の勤務開始:予想を超えた現実

登録から3日後、私は新しい職場で働き始めていた。時給1,650円、残業なし、土日完全休み。これまで月収35万円の仕事を蹴ったことを後悔するかと思ったが、実際の手取りを計算すると...

基本給:1,650円 × 8時間 × 22日 = 290,400円
各種手当を含めると、手取りで約26万円。残業代に頼らない安定収入だった。

しかし、本当の驚きは給料ではなかった。

家族寮での生活:想定外の展開

入居した2DKの部屋は、正直言って豪華とは言えない。築15年のアパートで、設備も最新ではない。でも、家賃が月15,000円(光熱費別)という破格の条件だった。

ただし、ここで予想外の問題が発生した。

隣の部屋も同じ工場で働く家族だったのだが、彼らの生活リズムが私たちと真逆だった。夜勤専門の彼らは、私たちが寝る頃に起き出し、朝方に帰宅する。最初の1週間は、生活音でお互いにストレスを感じていた。

この問題、実はココカラ・ワークのアドバイザーが解決してくれた。「部屋の配置換えができますよ」という提案で、同じシフトの家族が近くに住むよう調整してもらえたのだ。

土日休みの真実:期待と現実のギャップ

「土日は完全休み」という触れ込みだったが、実際はどうだったか。

確かに土日は休めた。ただし、月に1回程度、土曜日の研修や安全講習があることは事前に聞いていなかった。参加は任意とはいえ、実質的には参加せざるを得ない雰囲気がある。

また、繁忙期には土曜出勤の打診もあった。断ることは可能だが、「協力してくれる人には特別手当が出る」と言われると、つい承諾してしまう自分がいた。

キャリアサポートの実態

ココカラ・ワークが謳う「経験豊富なアドバイザーによるキャリア相談」。これについても触れておきたい。

月1回の面談は確かにあった。ただ、内容は「仕事に慣れましたか?」「困ったことはありませんか?」程度の確認がメイン。深いキャリア相談というよりは、定期的な状況確認といった感じだった。

ただし、実際にトラブルが起きた時の対応は迅速だった。職場での人間関係の問題を相談したら、翌日には上司との三者面談をセッティングしてくれた。

社員登用制度:夢か現実か

「派遣から正社員へ」これは多くの派遣労働者の夢だろう。ココカラ・ワークも社員登用制度を謳っているが、実態はどうか。

私の職場では、過去3年間で派遣から正社員になった人は2名だけだった。50人以上の派遣スタッフがいる中での2名。確率にすると4%未満だ。

しかも、その2名は特殊な技能を持っていたり、夜勤専門で働いていたりと、特別な条件があった。普通に日勤で働いている私のような人間には、正直厳しい道のりだと感じた。

8ヶ月後の現在:続けている理由

色々と不満も書いたが、私は今もココカラ・ワークを通じて同じ職場で働いている。なぜか?

理由は単純だ。家族と一緒に暮らせて、土日は基本的に休めて、残業もほとんどない。この3つの条件を満たす仕事は、他では見つからなかったからだ。

給料は確かに高額ではない。でも、家賃が安い分、実質的な可処分所得は以前より増えた。妻もパートを始められたし、子供も新しい学校に慣れてきた。

利用を検討している人へ:知っておくべきこと

ココカラ・ワークの利用を検討している人に、経験者として伝えたいことがある。

まず、「すべての求人が好条件ではない」ということ。確かに良い案件は多いが、それらは競争率も高い。タイミングと運も必要だ。

次に、「家族寮」といっても千差万別。新築のワンルームマンションのような物件もあれば、私たちのような古いアパートもある。事前の確認は必須だ。

最後に、アドバイザーとの関係構築が重要。彼らも人間なので、相性がある。合わないと感じたら、担当変更を申し出ることも可能だ(私は実際に1回変更してもらった)。

総括:完璧ではないが、選択肢としては有力

ココカラ・ワークは万能ではない。過度な期待は禁物だ。でも、家族での転職、土日休み、残業なしの生活を本気で求めているなら、検討する価値は十分にある。

月収35万円の仕事を蹴った私が、8ヶ月経った今も続けている。それが、すべての答えかもしれない。

ただし、これはあくまで一個人の経験談。人によって状況は異なるだろう。大切なのは、自分にとって何が最優先なのかを明確にすることだ。

私の場合、それは「家族との時間」だった。あなたの場合は、違うかもしれない。