会議室のドアを開けた瞬間、視線が一斉に私の腕に集まった。シャツの袖から10センチも飛び出した手首。それが私の日常だった。身長185センチ、胸囲120センチ。この数字が何を意味するか、同じ悩みを持つ人なら一瞬で理解できるはずだ。

既製品のスーツ売り場で店員に告げられる言葉はいつも同じ。「お客様のサイズですと...特注になりますね」そして提示される金額は軽く10万円を超える。新入社員の頃から数えて、もう何度この言葉を聞いただろうか。

転機は同僚の一言から始まった

ある日の昼休み、隣の部署の田中が私のデスクに立ち寄った。彼も身長180センチを超える大柄な男だ。しかし、彼のスーツは明らかに違っていた。肩のラインがピタリと決まり、袖丈も完璧。何より、動きやすそうに見えた。

「そのスーツ、どこで?」思わず聞いてしまった私に、彼は意外な答えを返した。「SADAっていうオーダースーツ屋。初回なら2万円ちょっとで作れるよ」

正直、信じられなかった。オーダースーツが2万円?そんな話があるはずがない。しかし、田中の着ているスーツは確かに既製品とは違う。半信半疑のまま、その週末に新宿南口店へ向かった。

オーダースーツSADA

初回限定価格の裏側にある真実

店舗に入ってまず驚いたのは、その規模だった。想像していた小さな仕立て屋とは違い、広々とした店内には生地見本がずらりと並んでいる。スタッフの対応も丁寧で、「初回は本当に21,780円(税込)でフルオーダーできます」という説明に嘘はなさそうだった。

ただし、ここで重要なポイントがある。この価格で選べる生地は限定されているということだ。店員の説明によると:

  • 初回限定価格対象の生地は約50種類
  • ベーシックな色柄が中心(ネイビー、グレー、ブラックなど)
  • 高級生地を選ぶと追加料金が発生
  • 裏地やボタンのカスタマイズも別料金

つまり、基本的なビジネススーツなら確かに2万円台で作れるが、こだわりを追求すると価格は上がるという仕組みだ。私の場合、結局27,000円程度になった。それでも既製品の特注価格と比べれば破格だ。

採寸という名の職人技

SADAの採寸は想像以上に細かかった。通常の採寸箇所に加えて、私のような特殊体型の場合は追加で測定される箇所がある。肩甲骨の位置、前肩の傾き、腹部の出具合...全部で30箇所以上を測定された。

特に印象的だったのは、「普段どんな姿勢で仕事をしていますか?」という質問だった。デスクワークが多いことを伝えると、前傾姿勢を考慮した補正を加えてくれるという。こんな細かい配慮は既製品では絶対に受けられない。

採寸にかかった時間は約40分。途中、過去に作ったスーツの不満点なども聞かれ、それに対する改善提案もしてくれた。ただ、一つ気になったのは、採寸スタッフによってスキルに差があるという口コミを後で見つけたことだ。私の担当者は経験豊富そうだったが、運次第という面もあるかもしれない。

4週間後の衝撃

納期は約4週間と聞いていたが、実際には3週間半で連絡が来た。受け取りに行った時の感動は今でも忘れられない。

まず、袖を通した瞬間の軽さに驚いた。今まで着ていた既製品は、どこかしら体に合わない部分があって常に違和感があった。しかし、このスーツは違う。肩が自然な位置に収まり、腕を上げても突っ張らない。

そして何より、鏡に映る自分の姿が違っていた。「スーツを着ている」のではなく「スーツを着こなしている」という感覚。これは本当に新鮮な体験だった。

3ヶ月使用後の本音レビュー

あれから3ヶ月。週3〜4日のペースで着用している。良い点と気になる点を正直にまとめてみた。

良かった点

  • 動きやすさが段違い:特に肩回りの自由度が高く、満員電車でも疲れない
  • シワになりにくい:体に合っているため、変なところにシワができない
  • 姿勢が良くなった:スーツが体を正しい位置に導いてくれる感覚
  • 周囲の反応が変わった:「最近、雰囲気変わった?」と言われることが増えた

気になった点

  • 生地の耐久性:初回限定価格の生地は、やや薄手で摩擦に弱い印象
  • アフターケアの説明不足:手入れ方法などの説明がもう少し欲しかった
  • 2着目の価格:初回限定価格に慣れると、通常価格(4万円〜)が高く感じる
SADA公式サイト

他社との比較:SADA vs DIFFERENCE vs KASHIYAMA

オーダースーツを検討する上で、他社との比較は避けて通れない。実際に私が検討した3社を比較してみた。

項目 SADA DIFFERENCE KASHIYAMA
初回価格 21,780円〜 38,500円〜 33,000円〜
納期 約4週間 最短2週間 約1週間〜
採寸方法 店舗で手採寸 AI採寸あり 店舗で手採寸
生地の種類 初回50種類程度 150種類以上 300種類以上
店舗数 全国45店舗 全国50店舗以上 全国70店舗以上
特徴 初回価格が圧倒的に安い 納期の早さとAI採寸 生地の豊富さと高級感

結論から言うと、初めてのオーダースーツならSADAがおすすめだ。価格面でのハードルが低く、失敗を恐れずに挑戦できる。ただし、2着目以降は他社も含めて検討する価値がある。

SADAで失敗しないための5つのポイント

実際に利用してみて分かった、失敗を避けるためのポイントを共有したい。

1. 採寸は経験豊富なスタッフを指名する

可能であれば、事前に電話で「経験豊富なスタッフ」を希望することを伝える。採寸の精度が仕上がりを大きく左右する。

2. 初回は無難なデザインを選ぶ

フィット感を確認するためにも、最初は奇抜なデザインは避ける。2着目以降で冒険すればいい。

3. 生地サンプルは必ず確認する

カタログの写真と実物では印象が異なることがある。必ず生地サンプルを手に取って確認すること。

4. 仕上がり時の微調整を遠慮しない

受け取り時に違和感があれば、その場で調整を依頼する。初回は1ヶ月以内なら無料で調整してもらえる。

5. メンテナンス方法を詳しく聞く

オーダースーツは適切な手入れで長持ちする。クリーニングの頻度や保管方法など、詳しく聞いておくこと。

全額返金保証の真相

SADAには「全額返金保証」という制度がある。これは本当に機能するのか?実は、私の知人がこの制度を利用したことがある。

彼の場合、仕上がったスーツの肩幅が明らかに合っていなかった。店舗で相談したところ、まず無料での修正を提案された。しかし、修正では対応できないレベルの問題だったため、最終的に全額返金となった。

ただし、この保証には条件がある:

  • 受け取りから30日以内に申請すること
  • スーツの状態が良好であること(汚れ、破損がない)
  • レシートや注文書を保管していること

つまり、「なんとなく気に入らない」では返金対象にならないが、明らかな採寸ミスなどには対応してくれるということだ。

オーダースーツSADA

法人向けサービスの実態

実は、SADAには法人向けサービスもある。私の勤める会社でも導入を検討したことがあるので、その際に聞いた情報を共有したい。

法人契約のメリット:

  • 社員全員が割引価格で利用可能
  • 出張採寸サービスあり(10名以上)
  • 請求書払いが可能
  • 統一感のある企業イメージを演出できる

特に興味深いのは、プロスポーツチームへの提供実績だ。阪神タイガースやガンバ大阪など、体格差の大きいアスリートたちにも対応している実績は、技術力の証明と言えるだろう。

6ヶ月後、私は月1万円の貯金を始めた理由

タイトルにある「月1万円の貯金」の話をしよう。初回限定価格でオーダースーツの素晴らしさを知った私は、2着目、3着目が欲しくなった。しかし、通常価格は4万円以上。そこで始めたのが「スーツ貯金」だ。

月1万円を貯金すれば、4ヶ月に1着のペースで新しいスーツが作れる。これは決して安い買い物ではない。しかし、自分に完璧にフィットするスーツを着る喜びは、その価値があると感じている。

特に、ビジネスシーンでの自信の違いは計り知れない。プレゼンテーションの時、商談の時、そして鏡の前に立つ時。すべての瞬間で、このスーツは私の味方になってくれる。

まとめ:SADAは「始まり」にすぎない

オーダースーツSADAの最大の価値は、「オーダースーツの世界への入り口」を提供してくれることだと思う。21,780円という価格は、確かに既製品と比べても競争力がある。しかし、それ以上に、自分の体に合った服を着る喜びを教えてくれる。

もちろん、完璧なサービスではない。生地の選択肢の少なさ、2着目以降の価格、採寸スタッフのスキル差など、改善の余地はある。しかし、これらのデメリットを考慮しても、特に私のような特殊体型の人間にとっては、革命的なサービスだ。

もし今、スーツで悩んでいる人がいるなら、まずは店舗で相談だけでもしてみることを勧める。採寸と相談は無料だ。そこで感じた印象が、きっとあなたの答えになるはずだ。

私は今日も、3ヶ月前に作ったネイビーのスーツを着て出社した。電車の中で袖を気にすることもなく、会議で腕を上げることも躊躇しない。これが普通だと感じられる日が来るなんて、半年前の自分には想像もできなかった。

身長185センチ、胸囲120センチ。この数字はもう、私の弱点ではない。