障害者が作る手作り品で生活が変わった。PIPPO利用者が語る予想外の感動体験
朝のコーヒータイムに、いつものマグカップではなく、手作りの温もりある陶器を手にした瞬間、私の日常に小さな革命が起きました。
それはPIPPOという障害者支援ECサイトで購入した、岐阜県の施設で作られた一点物の手作りマグカップでした。機械では決して出せない、微妙な歪みと独特の釉薬の流れ。そこには作り手の思いが込められていました。
PIPPOとの出会いが変えた私の価値観
正直に言うと、最初は「障害者が作った商品」という先入観がありました。品質はどうなんだろう?値段は高いんじゃないか?そんな疑問を抱えながらサイトを覗いてみたのです。
しかし、実際に届いた商品を手にして、私の偏見は完全に打ち砕かれました。プロの職人顔負けの技術力、細部まで行き届いた配慮、そして何より、作り手の真摯な姿勢が伝わってくる品質の高さに驚愕しました。
実際に購入した商品の詳細レビュー
1. さをり織り名刺入れ(われもこう)- 1,420円
最初に購入したのは、奈良県の「われもこう」という施設で作られたさをり織りの名刺入れでした。さをり織りとは、決まった型にはまらない自由な織り方で、一つとして同じ模様がない芸術的な織物です。
届いた商品を見て、まず驚いたのはその色彩の美しさでした。青と緑が複雑に絡み合い、光の角度によって表情を変える。まるで海の中を覗いているような、不思議な魅力がありました。
使い勝手も申し分ありません。名刺が約20枚入り、内側には仕切りもあって整理しやすい。何より、商談の際に取り出すと「素敵な名刺入れですね」と話題になり、そこから会話が弾むことも多々ありました。
2. 手作りクッキーセット(BAKERY CAFE chao)- 1,450円
次に試したのが、東京都の「BAKERY CAFE chao」のクッキーセット。正直、最初は「福祉施設のクッキーってどうなの?」という不安がありました。
しかし、一口食べて、その考えは180度変わりました。バターの香りが豊かで、サクサクとした食感。市販の大量生産品では味わえない、手作りならではの優しい味わい。特にキャラメルショートブレッドは、ほろ苦いキャラメルと塩気のバランスが絶妙で、コーヒーとの相性も抜群でした。
3. デンマーク牧場のアイスクリーム12個セット - 4,800円
夏の暑い日、ふと目に留まったのがデンマーク牧場のアイスクリーム。静岡県の施設が運営する牧場で作られているという説明に興味を持ちました。
届いたアイスクリームは、濃厚なのに後味さっぱりという絶妙なバランス。ミルクの味は、まさに「牧場直送」を実感させる新鮮さ。ほうじ茶味は、お茶の産地静岡ならではの香ばしさと、ミルクの甘さが見事に調和していました。
12個で4,800円は一見高く感じるかもしれません。しかし、1個あたり400円と考えれば、プレミアムアイスクリームとして妥当な価格。何より、一つ一つ丁寧に作られた品質を考えれば、むしろお得だと感じました。
PIPPOの魅力と課題 - 本音のレビュー
良かった点
1. 商品の品質が予想以上に高い
正直、最初は「支援」という気持ちが先行していましたが、純粋に商品として素晴らしいものばかりでした。
2. 一点物・少量生産の特別感
大量生産では味わえない、世界に一つだけの商品に出会える喜びがあります。
3. 作り手の顔が見える安心感
各施設の紹介ページがあり、どんな人たちが、どんな思いで作っているのかがわかります。
4. 社会貢献の実感
購入することで、確実に誰かの仕事と生きがいを支えているという実感があります。
改善してほしい点
1. 在庫数が少ない
気に入った商品があっても、すぐに売り切れてしまうことが多い。これは手作りゆえの宿命かもしれませんが...
2. 検索機能の使いにくさ
商品カテゴリーは豊富ですが、もう少し細かい条件で検索できると便利だと感じました。
3. 配送に時間がかかることがある
施設から直送のため、注文から到着まで1週間以上かかることも。急ぎの贈り物には向かないかもしれません。
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公式サイトで商品を見る他のハンドメイドECサイトとの比較
PIPPOを利用する前、私は「Creema」や「minne」といった大手ハンドメイドマーケットプレイスも利用していました。それぞれの特徴を比較してみましょう。
| 項目 | PIPPO | Creema | minne |
|---|---|---|---|
| 出品者 | 障害者福祉施設 | 個人作家・企業 | 個人作家中心 |
| 商品数 | 少ない(厳選) | 非常に多い | 多い |
| 価格帯 | 中価格帯 | 幅広い | 低〜中価格帯 |
| 品質管理 | 施設での管理 | 個人差あり | 個人差あり |
| 社会貢献度 | ◎(直接支援) | △ | △ |
| カスタマイズ | 一部可能 | 作家により可能 | 作家により可能 |
この比較から見えてくるのは、PIPPOは商品数では劣るものの、品質の安定性と社会的意義では他を圧倒しているということです。
PIPPOで見つけた、心に残る商品たち
国勢調査バッグのリメイク商品が示す創造性
特に印象的だったのが、ヒューネットアカデミーが作る「国勢調査バッグリメイク」シリーズ。使い終わった国勢調査の配布バッグを、ペンケースやトートバッグに生まれ変わらせているのです。
500円という手頃な価格ながら、アップサイクルという環境配慮と、限定品という特別感。何より、「こんなアイデアがあったのか!」という驚きがありました。
ごぼう茶が教えてくれた、本物の味
「われもこう」のごぼう茶(10袋入り500円)も、忘れられない商品の一つです。最初は「ごぼう茶?」と半信半疑でしたが、飲んでみると香ばしくて飲みやすい。
後で知ったのですが、ごぼうの栽培から焙煎まで、すべて施設内で行っているとのこと。だからこその新鮮さと、添加物を使わない自然な味わいが実現できているのでしょう。
購入プロセスの実体験 - スムーズさと課題
注文から配送まで
PIPPOでの購入プロセスは、基本的には他のECサイトと同じです。商品をカートに入れて、配送先を入力し、決済する。ただし、いくつか特徴的な点がありました。
1. 施設ごとに配送がまとめられる
複数の施設から商品を購入すると、それぞれ別々に配送されます。送料も別々にかかるので、まとめ買いする際は同じ施設の商品を選ぶとお得です。
2. 梱包の丁寧さに感動
どの施設からの商品も、驚くほど丁寧に梱包されていました。手書きのメッセージカードが入っていることも多く、作り手の温もりを感じられる瞬間でした。
3. 配送スピードはまちまち
早いところは3日で届きましたが、遅いところは10日以上かかることも。これは施設の規模や体制によるようです。
決済方法と手数料
決済方法は、クレジットカード、コンビニ決済、銀行振込など一般的な方法に対応しています。特に問題なくスムーズに決済できました。
PIPPOを1年間利用して気づいた、本当の価値
「支援」から「ファン」へ
最初は「障害者支援」という側面に惹かれて始めたPIPPOでの買い物。しかし今では、純粋に商品のクオリティとオリジナリティに魅了されて、定期的にサイトをチェックするようになりました。
特に気に入っている施設がいくつかでき、新商品が出るのを楽しみに待つように。これはもう「支援」ではなく、「ファン」としての行動です。
贈り物としての価値
PIPPOの商品は、贈り物としても素晴らしい選択肢です。実際、友人の誕生日プレゼントに「アトリエ・ポルト」の焼き菓子セットを贈ったところ、「こんな美味しいクッキー初めて!どこで買ったの?」と大好評でした。
商品の背景にあるストーリーを伝えると、さらに感動してもらえます。単なるモノではなく、思いやメッセージも一緒に贈れるのがPIPPOの商品の魅力です。
PIPPOが変える、これからの買い物のカタチ
エシカル消費の新しい形
SDGsやエシカル消費が叫ばれる昨今、PIPPOは最も身近で、最も効果的な社会貢献の形かもしれません。
フェアトレードや環境配慮商品も素晴らしいですが、PIPPOの場合は日本国内の、それも地域の福祉施設を直接支援できます。購入した商品がどこで、誰によって作られたかが明確にわかるのは、大きな安心感につながります。
多様性を認め合う社会への一歩
PIPPOでの買い物を通じて、私自身の障害者に対する見方も変わりました。「支援される側」というステレオタイプではなく、素晴らしい商品を生み出すクリエイターとして見るようになったのです。
これこそが、真の共生社会への第一歩なのかもしれません。
まとめ:PIPPOは「買い物」を超えた体験
1年間PIPPOを利用してきて感じるのは、これは単なるECサイトではないということです。
確かに、商品数の少なさや配送の遅さなど、大手ECサイトと比べると不便な面もあります。しかし、それを補って余りある商品の品質、作り手の思い、そして社会的な意義があります。
何より、PIPPOでの買い物は毎回が「発見」です。どんな商品に出会えるか、どんなストーリーに触れられるか。そのワクワク感は、効率重視の現代の買い物では味わえない貴重な体験です。
もしあなたが、買い物にもう少し意味を持たせたい、誰かの役に立ちたい、特別な商品に出会いたいと思っているなら、PIPPOはきっとその期待に応えてくれるはずです。
完璧ではないかもしれません。でも、その不完全さの中にこそ、人間らしさと温もりがある。それがPIPPOの、そして障害者が作る商品の、かけがえのない魅力なのです。

