98万円のロレックスが120万円に化けた瞬間、私は震えが止まらなかった
父が亡くなってから3年。形見として大切に保管していたロレックスのサブマリーナを、ついに手放す決断をした。
最初に近所の買取店に持ち込んだ時の査定額は98万円。正直、もっと高いと思っていた私は、その場で即答できなかった。
「他の店でも聞いてみますね」と言って店を出た瞬間、スマホで検索を始めた。そこで出会ったのが、最大10社に同時査定依頼できるサービスだった。
22万円の差額が生まれた理由
半信半疑で登録してみると、30秒ほどで入力完了。その後の展開は予想を超えていた。
1時間以内に5社から連絡が来て、査定額は以下の通りだった:
- A社:98万円(最初の店と同じ)
- B社:105万円
- C社:112万円
- D社:108万円
- E社:120万円
最高額と最安値の差は、なんと22万円。これは新品のオメガが買えてしまう金額だ。
なぜここまで買取価格に差が出るのか
E社の担当者に聞いてみたところ、興味深い事実が判明した。
「実は今、中国の富裕層向けにロレックスの需要が急増していまして、特にサブマリーナの116610LNは品薄状態なんです」
一方、最安値をつけたA社は地域密着型の小規模店舗。海外への販売ルートを持っていないため、国内相場でしか査定できないという。
つまり、買取業者の販売ルートや在庫状況によって、査定額は大きく変動するということだ。
実際に使ってみて感じたメリット
このサービスを使って良かった点は3つある。
1. 時間の節約が半端ない
もし自分で10社回っていたら、移動時間も含めて最低でも2日はかかっていた。それがたった30分で済んだのは本当に助かった。
2. 競争原理が働く
複数の業者が同時に査定することで、自然と価格競争が起きる。実際、C社は最初110万円だったが、「他社さんはいくらでしたか?」と聞かれ、正直に答えたところ112万円まで上げてくれた。
3. 断りやすい
対面だと断りづらいが、メールや電話なら「検討します」で済む。プレッシャーを感じることなく、冷静に判断できた。
正直なデメリットも書いておく
良いことばかりではない。使ってみて感じた不便な点もある。
電話が多い
登録後、各社から電話が来る。私の場合、1日で8件の着信があった。仕事中だとちょっと困る。
査定額にブレがある
写真だけでの査定なので、実物を見てから「傷があるので-5万円」と言われることもある。最終的な金額は実物査定後に確定する。
地方だと対応業者が少ない
東京や大阪なら10社以上から選べるが、地方だと3〜5社程度になることも。それでも近所の1店舗よりはマシだが。
他の一括査定サービスとの比較
時計の一括査定サービスは他にもある。主要3社を実際に使って比較してみた。
| 項目 | みんなの買取 | 時計査定.com | ウォッチバリュー |
|---|---|---|---|
| 提携業者数 | 500社以上 | 約200社 | 約150社 |
| 同時査定数 | 最大10社 | 最大8社 | 最大5社 |
| 査定スピード | 30分〜1時間 | 1〜2時間 | 15分〜30分 |
| 対応ブランド | 全ブランド | 高級ブランドのみ | 全ブランド |
| 利用料金 | 無料 | 無料 | 無料 |
提携業者数の多さで選ぶなら「みんなの買取」、スピード重視なら「ウォッチバリュー」といったところか。
意外な発見:買取価格が上がるタイミング
複数の業者と話していて気づいたことがある。買取価格は曜日や時間帯でも変動するという事実だ。
ある業者の担当者がこっそり教えてくれた:
「月末は在庫を確保したいので、査定額を少し上げることがあります。あと、金曜の夕方も狙い目ですね。週末の売上目標を達成したい店舗が多いので」
実際、私が最高額の120万円を提示されたのも、月末の金曜日だった。偶然かもしれないが、覚えておいて損はない。
こんな人には向いていない
正直に言うと、このサービスが合わない人もいる。
- 今すぐ現金が必要な人:査定から実際の買取まで数日かかる
- 電話対応が苦手な人:メールだけでは済まない場合が多い
- 1円でも高く売りたい人:オークションの方が高値になる可能性もある
逆に、以下のような人にはぴったりだ:
- 適正価格で売りたい人
- 時間を節約したい人
- 交渉が苦手な人
実際に売却してわかった注意点
120万円を提示してくれたE社に売却することにした。その際、いくつか注意すべき点があった。
1. 付属品は必須
箱、保証書、余りコマがないと10〜20%減額される。私は保証書を紛失していたため、最終的に115万円になった。それでも他社より高かったが。
2. 宅配買取のリスク
配送中の事故や紛失のリスクがある。必ず保険をかけて、追跡可能な方法で送ること。E社は上限1000万円の保険付き宅配キットを用意してくれた。
3. キャンセル時の返送料
査定額に納得いかずキャンセルする場合、返送料は自己負担のケースが多い。事前に確認しておくべきだった。
売却後の心境の変化
父の形見を売ってしまったことに、正直、罪悪感もある。でも、タンスの肥やしにしておくより、必要としている人の手に渡った方が時計も喜ぶはず。
得た115万円は、半分を母に渡し、残りは子供の教育資金に回した。父も孫のためなら許してくれるだろう。
もし最初の店で98万円で売っていたら、17万円も損していたことになる。一括査定を使って本当に良かった。
まとめ:相場を知らずに売るのは危険
時計の買取で最も重要なのは「相場を知ること」だ。1店舗だけの査定では、それが適正価格なのか判断できない。
私の場合、22万円もの差があった。これは極端な例かもしれないが、5〜10万円の差は普通にある。
時間に余裕があるなら、必ず複数の業者に査定してもらうべき。面倒でも、その手間が数万円〜数十万円の差になって返ってくる。
父の時計は新しい持ち主のもとで、また時を刻み始めているだろう。そして私は、適正な価格で売却できたという満足感を得た。
あなたの大切な時計も、本当の価値を見極めてから手放してほしい。後悔しないために。