決済手数料の明細を見た瞬間、手が震えた。月額29,870円

たった一年で35万円以上も決済手数料として消えていた計算になる。小さなカフェを経営する私にとって、これは新しいエスプレッソマシンが買える金額だった。

その日の夜、偶然見つけたSquareの乗り換えキャンペーンの広告。「他社解約金を最大10万円キャッシュバック」という文字が目に飛び込んできた。正直、怪しいと思った。こんな都合の良い話があるわけない、と。

でも、翌朝また明細を見返して決意した。このまま何もしなければ、来年も35万円が消える。

3ヶ月使って分かった、誰も教えてくれない真実

Squareに乗り換えて3ヶ月。結論から言うと、月の手数料は約40%削減された。でも、それ以上に驚いたのは想定外の変化だった。

まず、決済端末が無料で届いた時の衝撃。前の会社では初期費用で8万円払ったのに、Squareではタダ。しかも、設定は想像以上に簡単で、届いてから30分後にはもう使えていた。

ただ、すべてが完璧だったわけではない。実際に使ってみて気づいた3つの落とし穴がある。

落とし穴1:入金サイクルの違いに慌てた初月

前の決済会社は月2回の入金だったが、Squareは基本的に翌営業日入金。一見良さそうに聞こえるけど、資金繰りのリズムが完全に変わった。

特に困ったのは、月末の仕入れ資金の計算。今までは「15日と月末にまとまったお金が入る」という前提で動いていたから、毎日少しずつ入金されるシステムに慣れるまで1ヶ月かかった。

落とし穴2:POSシステムとの連携で起きた意外な問題

うちの店では独自のPOSシステムを使っていたんだけど、Squareとの連携で予想外のトラブルが。在庫管理の同期が上手くいかず、最初の2週間は二重管理を強いられた。

結局、SquareのPOSシステムに完全移行することで解決したけど、この作業に丸2日かかった。もし事前に知っていたら、もっとスムーズに移行できたはず。

落とし穴3:キャッシュバックの条件が思っていたより厳しかった

「最大10万円キャッシュバック」に飛びついた私だったが、実際には細かい条件があった。

  • 前の会社の解約証明書が必要
  • 3ヶ月以上の継続利用が条件
  • 月間決済額が一定以上必要

結果的に私が受け取れたのは67,000円。満額ではなかったけど、それでも解約金の大部分をカバーできたから文句はない。

他社との本音比較:数字で見る現実

3社を実際に比較検討した結果を、包み隠さず共有する。

項目 Square Airペイ PayPay for Business
決済手数料 3.25%〜 3.24%〜 1.98%〜
初期費用 0円 0円(キャンペーン時) 0円
入金サイクル 翌営業日 月3〜6回 月1回
対応カード 主要6ブランド 主要7ブランド 主要6ブランド
電子マネー対応 △(一部のみ)
サポート体制 電話・メール 電話・メール・チャット メール・チャット

数字だけ見るとPayPayの手数料が圧倒的に安いけど、月1回の入金サイクルは小規模店舗には厳しい。実際、知り合いの飲食店オーナーは資金繰りが回らなくなって3ヶ月で他社に乗り換えた。

Airペイは電子マネー対応が充実していて魅力的だったが、決済端末の在庫がなく、申し込みから到着まで3週間待たされるとのこと。すぐに切り替えたかった私には選択肢になかった。

予想外に便利だった機能たち

正直、決済手数料が安くなればそれで満足だったんだけど、使い始めて気づいた便利機能がいくつかある。

1. 売上分析が想像以上に使える

以前は手作業でExcelに売上を入力していたけど、Squareは自動で詳細なレポートを作成してくれる。特に感動したのは時間帯別の売上分析

これのおかげで、平日14〜16時の売上が極端に低いことが判明。この時間帯にスタッフを減らして人件費を月5万円削減できた。

2. 請求書機能で未払いが激減

ケータリングサービスも提供している関係で、後払いの法人客が多い。今まではWordで請求書を作って、入金確認も手作業だった。

Squareの請求書機能を使い始めてから、未払い率が15%から3%まで減少。オンラインでカード決済できるから、経理担当者も楽になったと喜ばれている。

3ヶ月使って気づいた、向いている人・向いていない人

すべての店舗にSquareが最適とは限らない。実際に使ってみて感じた、向き不向きをまとめる。

Squareが向いている店舗

  • 資金繰りを安定させたい小規模店舗(翌営業日入金は本当に助かる)
  • POSシステムも一緒に見直したい店舗
  • オンライン決済も導入したい店舗
  • 売上分析を活用して経営改善したい店舗

他社を検討した方が良い店舗

  • 電子マネー決済が売上の大部分を占める店舗(Squareは対応が限定的)
  • 月間決済額が1000万円を超える大規模店舗(手数料交渉の余地がある他社の方が有利かも)
  • 独自の高機能POSシステムを使い続けたい店舗

乗り換えを決めた最大の理由

色々書いたけど、最終的に乗り換えを決めた理由は単純だった。

「毎月の固定費が確実に下がる」という事実。

うちの店の場合、月間決済額が約90万円。以前の会社では手数料3.74%で約33,660円かかっていたのが、Squareでは3.25%で約29,250円に。月4,410円、年間52,920円の削減

これに加えて、67,000円のキャッシュバック。初年度だけで約12万円のコスト削減になった計算だ。

実際の乗り換え手順(つまずいたポイント付き)

乗り換えは思っていたよりスムーズだったけど、いくつかつまずいたポイントがあった。同じ失敗をしないために、実際の手順を共有する。

ステップ1:現在の契約内容の確認(ここで1週間ロス)

まず現在使っている決済会社の契約書を探すのに3日かかった。さらに解約条件を確認すると、「3ヶ月前の通知が必要」という文言が。慌てて問い合わせたら、特例で1ヶ月前通知でOKとのことだったが、ここで1週間ロスした。

ポイント:乗り換えを検討し始めたら、すぐに現在の契約書を確認すること。

ステップ2:Squareへの申し込み(意外とあっさり)

オンラインでの申し込みは15分程度で完了。必要だったのは:

  • 事業者情報
  • 振込先口座情報
  • 本人確認書類

審査は翌日には通過し、3日後には決済端末が届いた。

ステップ3:スタッフへの説明(ここが一番大変)

新しい端末の使い方をスタッフ全員に説明するのが予想以上に大変だった。特にベテランスタッフほど「前のやり方の方が良かった」という抵抗感が強く、完全に慣れるまで2週間かかった。

ポイント:事前にマニュアルを作成し、練習時間を設けること。Squareの管理画面から練習用モードが使えるのは助かった。

3ヶ月後の正直な感想

Squareに乗り換えて3ヶ月。完璧ではないけど、総合的には満足している

特に良かったのは:

  • 月額固定費の削減(年間5万円以上)
  • 翌営業日入金による資金繰りの改善
  • 売上分析機能による経営改善
  • キャッシュバックによる初期コストの相殺

改善してほしいのは:

  • 電子マネー対応の拡充
  • サポートの電話がつながりにくい時がある
  • レシートのカスタマイズ性がもう少しほしい

最後に:乗り換えを迷っている人へ

決済手数料は「必要経費」として諦めていた。でも、年間35万円という数字を見た時、これは違うと思った。

乗り換えには確かに手間がかかる。スタッフの教育も必要だし、システムに慣れるまでの混乱もある。でも、それは最初の1ヶ月だけ

その後は毎月確実にコストが下がり、資金繰りも改善する。うちの場合、削減できた費用で新しいコーヒーマシンを導入できた。これがお客様の満足度向上につながり、結果的に売上アップにもつながっている。

ただし、すべての店舗にとってSquareが最適解とは限らない。自分の店舗の決済状況、資金繰りの状態、将来の展望を考えて判断することが大切だ。

私の経験が、同じように決済手数料に悩む経営者の参考になれば幸いだ。変化を恐れずに一歩踏み出せば、思っていた以上の改善が待っているかもしれない。