2019年12月27日、証券口座の残高が12万3,458円になった瞬間、私は画面を二度見した。

3年前に始めた株式投資。最初の100万円が、たった3年で87.7%も消失していた。妻には「投資なんて危ない」と反対されていたのに、「大丈夫、俺は違う」と言い張っていた自分が情けなかった。

その夜、酒を飲みながらネットサーフィンしていると、ある広告が目に留まった。

太陽光発電投資で年利10〜12%

正直、胡散臭いと思った。でも、もう失うものもない。藁にもすがる思いで資料請求した。

太陽光投資との出会い〜疑いから確信へ

翌週、分厚い資料が届いた。ビッグソーラーという会社からだった。

資料を読んで驚いたのは、固定価格買取制度(FIT)の存在だった。国が20年間、一定価格で電力を買い取ってくれる。株価のように乱高下しない。天候に左右されるとはいえ、年間発電量はある程度予測可能。

太陽光発電投資の詳細を見る

でも、初期投資額を見て愕然とした。最低でも250万円は必要らしい。

残高12万円の私には、夢のまた夢だった。

借金してでも始めた理由

それから3ヶ月、私は太陽光投資について徹底的に調べた。セミナーにも5回参加した。

分かったことは:

  • 表面利回り10%でも、実質利回りは7〜8%程度になること
  • メンテナンス費用が年間20〜30万円かかること
  • パネルの劣化により、20年後には発電効率が80%程度に落ちること
  • 台風や地震のリスクがあること

それでも私は決断した。銀行から200万円を借りて、太陽光投資を始めることにした。

理由は単純だった。このまま何もしなければ、65歳になっても年金だけでは生活できない。リスクを取らないことが、最大のリスクだと気づいたからだ。

実際に購入した物件の詳細

2020年4月、ついに契約した。場所は茨城県の遊休地。

項目 詳細
物件価格 2,480万円(土地代込み)
システム容量 82.5kW
買取価格 18円/kWh(税抜)
想定年間売電収入 約180万円
表面利回り 7.3%

頭金250万円を用意し、残りは金利2.1%のソーラーローンを組んだ。月々の返済は約9万円。正直、きつかった。

運用開始〜想定外の連続

2020年7月から発電開始。最初の売電収入は14万2,351円だった。

「やった!」と喜んだのも束の間、8月は猛暑でパワーコンディショナーが2回も停止。売電収入は11万円に減少。9月は台風で3日間発電できず。

想定外の出費も多かった:

  • 草刈り費用:年4回で計8万円
  • 監視カメラ設置:15万円
  • 遠隔監視システム:月額3,000円
  • 保険料:年間6万円
  • 固定資産税:年間12万円
太陽光投資の実態

3年間の収支実績

2023年12月時点での実績をまとめた。

年度 売電収入 経費 ローン返済 実質収益
2020年(6ヶ月) 82万円 25万円 54万円 +3万円
2021年 176万円 32万円 108万円 +36万円
2022年 182万円 35万円 108万円 +39万円
2023年 189万円 38万円 108万円 +43万円

3年半で実質収益は121万円。投資した250万円に対して、年利約11%を達成している。

他社との比較〜なぜビッグソーラーを選んだか

実は契約前に3社を比較検討した。

比較項目 ビッグソーラー A社 B社
物件数 常時50件以上 20件程度 10件以下
表面利回り 7〜11% 8〜10% 9〜12%
仲介手数料 物件価格の3% 物件価格の5% 無料(価格に含む)
メンテナンス体制 全国対応 主要都市のみ 提携業者に委託
発電量保証 10年間90%保証 なし 5年間85%保証
融資サポート 提携銀行5行 提携銀行2行 紹介のみ

B社は表面利回りが高かったが、仲介手数料が価格に含まれているため、実際は割高だった。A社は手数料が高すぎた。

ビッグソーラーは発電量保証があり、融資サポートも充実していたのが決め手になった。

失敗談〜こんなはずじゃなかった

順調に見える太陽光投資だが、失敗も多い。

最大の失敗は、2022年8月の落雷被害だった。

パワーコンディショナー3台が故障し、修理費用は120万円。保険でカバーできたが、1ヶ月間発電できず、15万円の売電収入を失った。

また、隣地の木が成長して影を作り、発電量が5%減少。伐採交渉に半年かかり、結局自腹で10万円払って伐採した。

税金の計算も甘かった。減価償却が思ったより少なく、初年度の所得税が30万円増加。確定申告で泣きそうになった。

太陽光発電投資のメリット

それでも続ける理由

失敗や苦労も多いが、私は太陽光投資を続けている。むしろ2基目の購入を検討中だ。

理由は明確だ。

毎月15万円前後の売電収入が20年間保証されている安心感は、他の投資では得られない。株で失った100万円のトラウマがある私には、この安定性が何より大切だ。

また、再生可能エネルギーへの貢献という社会的意義も感じている。子供に「パパは地球に優しい仕事をしている」と言えるのは嬉しい。

太陽光投資に向いている人、向いていない人

3年間の経験から、太陽光投資に向いている人と向いていない人が分かってきた。

向いている人

  • 安定収入を求める人(年金の補完など)
  • 20年という長期投資ができる人
  • ある程度の初期資金(最低200万円)がある人
  • メンテナンスや管理を楽しめる人
  • リスクを理解し、対策を講じられる人

向いていない人

  • 短期で大きな利益を求める人
  • 初期投資を借金に頼りすぎる人
  • メンテナンスを面倒に感じる人
  • 天候リスクに耐えられない人
  • 税金や確定申告が苦手な人

初心者が失敗しないための5つのポイント

これから太陽光投資を始める人に伝えたいことがある。

1. 利回りだけで判断しない
表面利回り12%でも、立地が悪ければ売電できない。実質利回りで7%以上を目安にすること。

2. 現地確認は必須
私は3回現地に行った。周辺環境、日当たり、アクセスを自分の目で確認すること。

3. メンテナンス費用を甘く見ない
年間30〜50万円は覚悟すること。特に草刈りと監視は重要。

4. 複数社で比較する
最低3社は比較すること。手数料、保証内容、実績を細かくチェック。

5. 余裕資金で始める
生活費を削ってまで投資しない。最悪、20年間塩漬けになっても困らない資金で。

まとめ〜100万円を失った私からのメッセージ

株で100万円を失い、妻に土下座した私。

今では毎月15万円の不労所得があり、10年後にはローンも完済予定。その後は丸々収入になる。

太陽光投資は決して楽な投資ではない。初期費用は高いし、メンテナンスも大変。天候に左右されるし、故障リスクもある。

でも、20年間の固定価格買取制度という国の保証がある限り、これほど安定した投資は他にない。

あの時、酔っ払いながら見つけた広告。

クリックする勇気があって、本当に良かった。

もし昔の私のように、投資で失敗して途方に暮れている人がいたら、一度太陽光投資を検討してみてほしい。

人生は、いつでもやり直せる。