深夜2時17分。母の部屋から聞こえてきた叫び声で、私は飛び起きました。慌てて駆けつけると、ベッドから転落しそうになっている母の姿が。この瞬間、私は「もう限界だ」と悟りました。

それから72時間後、私は初めて自費の訪問介護サービスを利用することになります。正直、最初は「お金で解決するなんて」という罪悪感もありました。でも、その考えは完全に間違っていたことに気づくまで、そう時間はかかりませんでした。

なぜ介護保険だけでは限界があるのか

母の認知症が進行してから、私たち家族は介護保険サービスをフル活用していました。デイサービス週3回、訪問介護週2回。それでも、夜間や早朝、週末の対応は家族でカバーするしかありません

特に困ったのが以下の状況でした:

  • 深夜のトイレ介助(1晩に3〜4回)
  • 急な通院が必要になった土曜日
  • 私が仕事で出張する際の24時間見守り
  • 認知症による徘徊の可能性がある時間帯

介護保険のケアマネージャーさんに相談しても、「制度上、これ以上のサービス提供は難しい」という回答。そんな時、病院の待合室で偶然出会った方から聞いたのが、訪問介護マッチングサービスの存在でした。

3つのサービスを実際に試してみた結果

正直に告白すると、最初は「どこも同じでしょ」と思っていました。でも、実際に3つのサービスを試してみると、それぞれに明確な違いがあることがわかりました。

比較項目 クラウドケア ニチイライフ ダスキンホームインステッド
最短予約時間 1時間前 前日まで 3日前まで
基本料金(1時間) 2,750円〜 3,300円〜 3,850円〜
24時間対応 △(要相談) ○(割増料金)
ヘルパー指名 可能(440円/時間) 不可 可能(無料)

クラウドケアを選んだ決め手

結論から言うと、私はクラウドケアを選びました。理由は単純で、「1時間前でも予約できる」という点が決定的でした。

実は最初、料金が一番安いわけでもないクラウドケアを選ぶことに迷いがありました。でも、実際に使い始めてから気づいたんです。介護で一番大切なのは「いざという時に頼れるか」だということに。

実際に助かった緊急事態

先月のことです。朝9時、私は重要なプレゼンの最中でした。その時、母から電話が。「お腹が痛くて動けない」と。

すぐにクラウドケアのアプリを開き、10時からの訪問を依頼。わずか15分後にはヘルパーさんとのマッチングが完了し、10時ちょうどに到着してもらえました。結果的に母は軽い便秘だったのですが、病院への付き添いから薬の受け取りまですべて対応してもらえました。

【実際の利用料金】
通院付き添い 3時間:9,900円(税込)
交通費:880円
合計:10,780円

正直、1万円を超える出費は痛かったです。でも、仕事を早退していたら失う信頼や評価を考えると、むしろ安い投資だったと思います。

3ヶ月使って分かった本音

ここからは、綺麗事抜きの本音を書きます。クラウドケアも完璧ではありません。

良かった点

1. ヘルパーの質が想像以上に高い
最初に来てくれたヘルパーさんは、50代の女性でした。母の好きな昭和歌謡の話で盛り上がり、まるで親戚のおばさんが遊びに来たような雰囲気になりました。技術面でも、オムツ交換から移乗介助まで手際が良く、安心して任せられました。

2. アプリが使いやすい
60代の私でも迷わず使えるシンプルな設計。依頼内容を選んで、日時を指定するだけ。事前にヘルパーさんとメッセージのやり取りができるのも安心材料でした。

3. 柔軟な対応
「薬の整理もお願いできますか?」「庭の水やりも...」など、介護保険では対応できない細かな要望にも応えてくれました

改善してほしい点

1. 地域によってヘルパー数に差がある
都心部は問題ないのですが、私の住む埼玉県北部では、土日の午前中などはマッチングに時間がかかることがありました。一度、3時間待ってもマッチングしなかったことも。

2. 料金体系が複雑
基本料金は分かりやすいのですが、深夜料金、直前依頼の割増など、最終的な金額が分かりにくいことがあります。特に深夜帯は基本料金の10%増しに加えて、直前依頼だとさらに割増になるため、予想以上の出費になることも

3. ヘルパーによって対応に差がある
これは仕方ないことかもしれませんが、人によって得意不得意があります。ある方は料理が上手でしたが、別の方は「レトルトを温めるくらいしか...」という感じでした。

費用対効果を冷静に分析してみた

3ヶ月間の利用履歴を振り返ると、以下のような利用パターンになっていました:

定期利用(週1回4時間) 月額 44,000円
緊急利用(月3回程度) 月額 約30,000円
月額合計 約74,000円

正直、月7万円超えは家計に重いです。でも、この出費によって得られたものは:

  • 仕事を続けられている(月収を維持)
  • 週1回は確実に自分の時間が持てる
  • 緊急時の安心感
  • 家族関係の改善(イライラが減った)

特に最後の点は重要でした。介護疲れでギスギスしていた家族の雰囲気が、明らかに良くなりました。

こんな人にはおすすめできない

ここまで読んで「クラウドケアいいじゃん」と思った方、ちょっと待ってください。すべての人に向いているわけではありません

おすすめできない人

  • 費用を最優先で考える人:他にもっと安いサービスはあります
  • 毎回同じヘルパーさんを希望する人:指名料がかかる上、予約が取りにくくなります
  • 医療行為が必要な人:訪問看護ではないので、医療行為はできません
  • 地方在住の人:サービス提供エリアが限られています

特におすすめしたい人

  • 仕事と介護の両立に悩んでいる人
  • 緊急時の対応に不安がある人
  • 介護保険の限度額を超えてしまった人
  • 家族だけでの介護に限界を感じている人

申し込み前に確認すべき3つのポイント

もしクラウドケアの利用を検討しているなら、以下の3点は必ず確認してください:

1. お住まいの地域のヘルパー登録数
登録時に郵便番号を入力すると、その地域で活動しているヘルパー数が表示されます。10人以下の場合は、マッチングに時間がかかる可能性が高いです。

2. 支払い方法と締め日
クレジットカード払いが一番便利ですが、ない場合はペイジーやコンビニ払いも可能です。ただし、コンビニ払いは120時間前までの予約が必要なので注意。

3. キャンセルポリシー
24時間前までは無料でキャンセル可能ですが、それ以降は料金が発生します。母の体調は変わりやすいので、このルールは要確認です。

まとめ:完璧ではないけれど、救われた

クラウドケアを使い始めて3ヶ月。正直、お金のことを考えると「もっと安いサービスにすべきか」と悩む日もあります。

でも、深夜2時のあの叫び声を思い出すと、答えは明確です。あの時の絶望感と比べれば、月7万円で得られる安心感は決して高くない

介護は長期戦です。家族だけで抱え込んでいては、共倒れになってしまいます。プロの力を借りることは、決して「手抜き」ではありません。むしろ、持続可能な介護のために必要な選択だと、今では確信しています。

もし今、介護で悩んでいる方がいたら、まずは週1回、2時間だけでも試してみることをおすすめします。その2時間で、あなたは美容院に行けるかもしれない。友人とお茶ができるかもしれない。ただぼーっとできるかもしれない。

そんな「普通の時間」が、どれだけ貴重か。失ってから気づくのでは遅いんです。

最後に:登録だけは無料でできます

いざという時にすぐ使えるよう、登録だけでも済ませておくことをおすすめします。登録自体は1分で完了し、利用するまで一切料金はかかりません

私も最初は「とりあえず登録だけ」のつもりでした。でも、その「とりあえず」が、後に家族を救うことになるとは思ってもいませんでした。

※本記事は個人の体験に基づくものです。サービスの詳細や料金は変更される可能性があるため、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。