最初の3ヶ月で顧客データを全部消してしまった。バックアップも取っていなかった。それでも私が3do1を使い続ける理由がある。

プログラマーとして15年のキャリアを持つ私が、なぜコードを書かずにホームページを作ることを選んだのか。その答えは意外なところにあった。

プロが選んだ「素人向けツール」の真実

HTMLもCSSも自在に操れる。WordPressのカスタマイズだって朝飯前。それなのに、副業で始めた整体院のサイトには3do1を選んだ。

理由は簡単だ。コードを書く時間があるなら、患者さんと向き合いたかったから。

3do1公式サイト

技術者だからこそ分かる「シンプルの価値」

3do1のブロックエディタを初めて触った時、正直「物足りない」と感じた。カスタマイズの自由度は低い。デザインの選択肢も限られている。

でも、使い続けて気づいたことがある。制限があるからこそ、本質に集中できるのだと。

フォントサイズで30分悩むより、お客様の声をもう一つ追加する。配色に迷うより、予約フォームを分かりやすくする。これが本当のWeb活用だった。

致命的な失敗から学んだ3つの教訓

冒頭で触れた「データ全消失事件」。あれは本当に肝が冷えた経験だった。

1. 自動保存を過信してはいけない

3do1には自動保存機能がある。だから安心していた。でも、ブラウザがクラッシュした時、最後の30分の作業が消えた

今では必ず手動保存する癖がついた。「Ctrl+S」が使えないのは不便だが、画面右上の「保存」ボタンを5分ごとにクリックすることで解決している。

2. 顧客データのエクスポートは定期的に

あの日、間違えて顧客リストの一括削除ボタンを押してしまった。確認ダイアログも「はい」を選んでしまった。287名分のデータが一瞬で消えた

サポートに連絡したら「申し訳ございません。削除されたデータの復元はできません」との回答。当然だ。これは私のミスだ。

それ以来、毎週金曜日の17時に必ずCSVエクスポートしている。3do1の顧客管理機能は便利だが、バックアップは自己責任だ。

3. プランのダウングレードは要注意

売上が下がった時期、ビジネスプランからバリュープランに下げようとした。すると警告が出た。「顧客データが上限を超えています。削除が必要です」と。

結局、プランを維持することにした。一度上げたプランを下げるのは、想像以上に難しい

リアルな料金体系と隠れたコスト

公式サイトには載っていない、実際に使って分かったコストがある。

項目 表向きの費用 実際の費用
基本料金(ビジネスプラン) 4,500円/月 年払いで54,000円(月割り4,500円)
独自ドメイン 0円(サブドメイン利用可) 信頼性のため結局取得(1,500円/年)
SSL証明書 0円(無料SSL付き) 0円(本当に無料だった)
画像素材 記載なし 月2,000円程度(外部サービス)
実質月額コスト 4,500円 約6,625円
3do1の料金プラン

競合2社との本音比較

3do1を選ぶ前、WixとJimdoも試した。それぞれ1ヶ月以上使い込んだ上での比較だ。

Wixとの比較:自由度 vs 使いやすさ

比較項目 3do1 Wix
デザインの自由度 ★★☆☆☆ ★★★★★
操作の簡単さ ★★★★★ ★★★☆☆
顧客管理機能 ★★★★★ ★★☆☆☆(別料金)
価格 4,500円/月 2,100円/月〜
日本語サポート ◎(国産) △(翻訳っぽい)

Wixは確かに美しいサイトが作れる。ドラッグ&ドロップで自由自在だ。でも、自由すぎて迷子になった

ボタンの位置を1ピクセル単位で調整できる。素晴らしい。でも、そんなことに2時間も使ってしまった自分が情けなかった。

Jimdoとの比較:シンプルさの違い

比較項目 3do1 Jimdo
初心者向け度 ★★★★★ ★★★★☆
ビジネス機能 ★★★★★ ★★★☆☆
テンプレート数 少ない(でも十分) 豊富
CRM連携 標準装備 なし
価格 4,500円/月 990円/月〜

Jimdoも悪くない選択肢だった。特にAIビルダーは面白い。質問に答えるだけでサイトができる。

ただ、できあがったサイトに「魂」が感じられなかった。テンプレート感が強すぎて、自分のビジネスらしさが出せなかった。

2年使って分かった本当の強みと弱み

予想外に良かった点

1. 顧客管理が想像以上に使える
最初は「おまけ機能」だと思っていた。でも今では、これなしでは仕事にならない。フォームから入った問い合わせが自動で顧客リストに追加される。メール配信もできる。別途CRMツールを契約する必要がなくなった。

2. 日本語サポートの質が高い
夜中の2時にトラブった時も、翌朝には返信が来た。しかも的確。「申し訳ございません」の連発ではなく、具体的な解決策を提示してくれる。

3. 表示速度が意外と速い
シンプルな作りだからか、ページの表示が速い。GoogleのPageSpeed Insightsで測ったら、モバイルでも85点以上出た。

正直がっかりした点

1. ブログ機能が貧弱
予約投稿ができない。カテゴリー分けも1階層まで。SEOを本気でやりたい人には物足りない。

2. デザインのカスタマイズ性
CSSの編集ができない。JavaScriptも使えない。「ここをもう少しだけ...」という微調整ができずにもどかしい。

3. プラン変更の制約
先述の通り、ダウングレードが実質できない。一度上げたら下げられない escalator に乗った気分だ。

こんな人には向かない(正直に)

  • ECサイトを本格的に運営したい人:カート機能が弱い。在庫管理もできない。
  • デザインにこだわりがある人:自由度を求めるならWixかWordPressへ。
  • SEOで上位表示を狙う人:基本的なSEO機能はあるが、細かい設定はできない。
  • 複数サイトを運営したい人:1契約1サイト。複数サイトなら別契約が必要。
3do1でホームページ作成

使いこなすための実践的アドバイス

最初の1ヶ月でやるべきこと

1週目:触りまくる期間
フリープランでいい。とにかく全機能を触る。壊れても大丈夫。リセットできる。

2週目:構成を決める期間
必要なページをリストアップ。トップ、サービス、料金、お問い合わせは最低限必要。ブログを始めるかもこの時期に決める。

3週目:コンテンツ作成期間
文章と画像を用意。3do1の中で書くより、メモ帳で下書きしてからコピペする方が効率的。

4週目:テスト運用期間
実際にフォームから問い合わせを送ってみる。スマホでの表示も必ず確認。友人にも見てもらう。

コスパを最大化する裏技

年払いは必須
月払いより2ヶ月分お得。ただし、途中解約の返金はない。最初の1年は覚悟を決めて年払いにした。

画像は圧縮してからアップ
容量制限はないが、表示速度に影響する。TinyPNGで圧縮してからアップロードすべし。

フォームは1つに統一
お問い合わせ、資料請求、無料相談...全部別フォームにすると管理が大変。1つのフォームで項目を分ける方が楽。

実際の成果(数字で語る)

2年間使った結果を正直に共有する。

  • アクセス数:月間2,000〜3,000PV(大したことない)
  • 問い合わせ数:月平均15件(conversion率0.5〜0.7%)
  • 顧客リスト:843名(削除事件後から再スタート)
  • メール開封率:32%(業界平均より高い)
  • 売上への貢献:問い合わせの6割がサイト経由

爆発的な成果ではない。でも、毎月安定して新規顧客が来る仕組みができた。これが一番大きい。

総括:完璧じゃないけど、ちょうどいい

3do1は万能ツールではない。できないことも多い。デザインの自由度は低いし、高度な機能もない。

でも、だからこそいい。

余計なことに時間を使わず、本業に集中できる。顧客管理も一緒にできるから、ツールをあれこれ使い分ける必要もない。

「ホームページを作ること」が目的じゃない。「ビジネスを成長させること」が目的なら、3do1は十分すぎるほど役に立つ。

完璧を求めて時間を浪費するより、70点のサイトで実際に商売を始める。その方がよっぽど建設的だと、2年使って確信した。

技術者としてのプライドを捨てて、経営者としての効率を取る。それが私の選択だった。

あなたはどちらを選ぶだろうか。

追記:最新アップデート情報

この記事を書いている最中、3do1から新機能のお知らせが届いた。ついにモバイルアプリでの編集が可能になったらしい。まだ試していないが、出先での更新が楽になりそうだ。

進化は遅いが、着実に改善されている。これも国産ツールの良さかもしれない。