年収が2倍になった日から始まった地獄...フリーランスボードで見た現実
月収35万円だった私が、フリーランスボードで初めて獲得した案件の単価は月額85万円だった。
喜びのあまり、妻と高級焼肉店で乾杯したあの夜。まさか3ヶ月後に、朝4時まで働く日々が待っているとは思いもしなかった。
26万件の案件に隠された、誰も教えてくれない真実
フリーランスボードには現在、261,093件もの案件が掲載されている。この数字だけ見れば、誰もが「選び放題じゃないか」と思うだろう。私もそう思っていた。
しかし実際に使ってみると、この膨大な案件数にはある仕掛けが隠されていることに気づく。
衝撃的だったAIスカウトの精度
登録して2日目の朝、メールボックスを開いて驚いた。17件ものスカウトが届いていたのだ。
「またどうせ、スキルと関係ない案件ばかりだろう」
そう思いながら確認すると、予想は見事に裏切られた。React専門の私に届いたスカウトは、すべてReactかNext.jsの案件。しかも希望単価の±10万円以内という、恐ろしいまでの精度だった。
3つのフリーランスエージェントを徹底比較してわかったこと
フリーランスボードの本当の価値を知るために、私は他の大手エージェントと並行して利用してみた。その結果が以下の表だ。
| 項目 | フリーランスボード | レバテックフリーランス | ギークスジョブ |
|---|---|---|---|
| 公開案件数 | 261,093件 | 約20,000件 | 約5,400件 |
| スカウト機能 | AIマッチング | コンサルタント経由 | コンサルタント経由 |
| エージェント口コミ | 無料で閲覧可能 | 非公開 | 非公開 |
| 市場相場データ | 無料公開 | 登録後一部公開 | 非公開 |
| 利用料金 | 完全無料 | 完全無料 | 完全無料 |
この比較で気づいたのは、案件数の圧倒的な差だ。ただし、これには理由がある。
20社のエージェントを横断検索できる仕組みの裏側
フリーランスボードは、いわば「フリーランス案件のGoogle」のような存在だ。レバテックやギークスジョブを含む、複数のエージェントの案件を一括検索できるシステムになっている。
これが26万件という膨大な案件数の秘密だった。
予想外に便利だったエージェント口コミ機能
正直、最初は期待していなかった機能がある。それがエージェントの口コミ閲覧機能だ。
「A社は返信が早いが、単価交渉は弱い」
「B社は案件の質は高いが、フォローが雑」
こんな生々しい口コミが無料で見られる。私はこの情報を参考に、3社のエージェントを使い分けるようになった。
使い始めて気づいた3つの落とし穴
ここまで読んで「完璧なサービスじゃないか」と思った人もいるかもしれない。しかし、実際に使ってみるといくつかの問題点も見えてきた。
1. 情報過多による決断疲れ
26万件の案件から選ぶということは、それだけ選択肢が多すぎるということでもある。
最初の1週間、私は毎日3時間以上も案件検索に費やしていた。フィルター機能を使っても、魅力的な案件が次々と出てきて、なかなか決められない。結局、疲れ果てて適当に応募してしまったこともあった。
2. エージェント間の情報のズレ
同じ案件が複数のエージェントから掲載されていることがある。しかし、単価や条件が微妙に違うケースに何度も遭遇した。
あるReact案件では、A社は「月額75万円」、B社は「月額80万円」と表示されていた。実際に問い合わせると、どちらも「スキル次第で70〜85万円」という回答。この曖昧さにはかなりストレスを感じた。
3. スカウトの質のばらつき
AIマッチングの精度は高いが、それでも完璧ではない。特に、経験年数だけで判断されているようなスカウトも混じっている。
「React経験3年以上」という条件だけでスカウトが来て、実際に話を聞いてみると、求められているのは「大規模システムの設計経験」だったりする。このミスマッチは時間の無駄になることが多かった。
それでも私がフリーランスボードを使い続ける理由
問題点もあるが、それでも私は3年間使い続けている。その最大の理由は、やはり「選択肢の多さ」だ。
1つのエージェントに依存していた頃は、提示された案件を受けるか断るかの二択だった。しかし今は、複数の選択肢から自分で選ぶことができる。この違いは想像以上に大きい。
市場相場データが交渉の武器になった
フリーランスボードで無料公開されている市場相場データは、単価交渉の強力な武器になっている。
「React×TypeScriptの平均単価は月額82万円」というデータを示すことで、エージェントも真剣に単価交渉してくれるようになった。実際、このデータを活用して、当初提示より15万円アップに成功したこともある。
フリーランスボードを最大限活用するための5つのコツ
3年間の試行錯誤で見つけた、効率的な使い方を共有したい。
1. 検索条件を保存して時短する
毎回同じ条件で検索するのは時間の無駄。よく使う検索条件(例:React、フルリモート、月額80万円以上)を保存しておけば、ワンクリックで最新案件をチェックできる。
2. エージェント口コミは必ず確認
魅力的な案件を見つけたら、まずそのエージェントの口コミをチェック。「返信が遅い」「条件が曖昧」といった口コミが多いエージェントは、最初から避けた方が無難だ。
3. スカウトは選別してから返信
すべてのスカウトに返信する必要はない。プロジェクト内容、期間、単価の3つが明確に記載されているスカウトだけに絞ると、効率が格段に上がる。
4. 複数エージェント経由で同じ案件に応募しない
これは意外と重要。同じ案件に複数のエージェントから応募すると、クライアント側で混乱が生じ、印象が悪くなる可能性がある。
5. 市場データは定期的にチェック
フリーランス市場は変化が速い。3ヶ月前の相場データはもう古い。月に1回は最新データを確認して、自分の市場価値を把握しておくことが大切だ。
年収が2倍になった後に待っていた現実
冒頭で触れた「月額85万円案件」の話に戻ろう。
確かに収入は大幅に増えた。しかし、それと引き換えに失ったものも多かった。プレッシャー、責任、そして時間。高単価案件には、それなりの理由があることを身をもって学んだ。
今は月額70万円前後の案件を中心に、無理のない範囲で仕事をしている。フリーランスボードのおかげで、こうした「ちょうどいい案件」も見つけやすくなった。
フリーランスボードは万能ツールではない、でも...
3年使ってきて思うのは、フリーランスボードは「情報収集ツール」として非常に優秀だということ。
26万件の案件データ、エージェントの評判、市場相場。これらの情報を無料で入手できるだけでも、十分に価値がある。実際に案件を獲得するかどうかは別として、市場動向を把握するためだけでも登録する価値はある。
ただし、情報に振り回されないよう注意は必要だ。大切なのは、自分のスキルと市場価値を冷静に見極め、無理のない範囲で活動すること。
フリーランスとしての成功は、高単価案件を獲得することだけではない。持続可能な働き方を見つけることこそが、本当の成功なのかもしれない。
そんな「自分らしい働き方」を見つけるための第一歩として、フリーランスボードは確実に役立つツールだと、私は確信している。


