半導体エンジニアの私が転職で年収200万アップできた理由|業界特化エージェントの裏側
年収650万円から850万円へ。まさか自分がこんな結果を手にするとは思ってもいませんでした。
半導体製造装置メーカーで10年間、プロセスエンジニアとして働いてきた私。技術には自信があったものの、転職活動では苦戦の連続。大手転職サイトに登録しても、来るのは的外れな求人ばかり。
「CVD装置の経験があるなら、営業職はどうですか?」
「半導体の知識があれば、IT系もいけますよ!」
そんな提案に辟易していた時、同僚から聞いたのが半導体業界専門の転職エージェントの存在でした。
なぜ一般的な転職サービスでは半導体エンジニアは苦労するのか
半導体業界の転職が難しい理由は明確です。専門用語の壁が想像以上に高いからです。
例えば、私の職務経歴書に書いた「ALD(Atomic Layer Deposition)プロセスの最適化」という一文。一般的なエージェントの反応は「それって何ですか?」から始まります。技術の説明だけで30分。結局、本質的なキャリア相談には至りません。
さらに厄介なのが、半導体業界特有の転職タイミングです。新規ファブの立ち上げ時期、装置の世代交代、技術トレンドの変化。これらを知らないエージェントでは、最適な転職時期すら判断できません。
半導体Jobエージェントを選んだ3つの理由
正直に言うと、最初は半信半疑でした。「業界特化」を謳うサービスは他にもあったからです。しかし、初回面談で考えが変わりました。
1. 元エンジニアが担当という安心感
担当者の経歴を聞いて驚きました。16年間、実際に半導体業界で働いていた元エンジニアだったのです。
「前工程のエッチング装置担当だったんですね。最近のHigh-k/Metal Gateプロセスでの課題は何でしたか?」
こんな専門的な質問が飛んできたのは初めてでした。技術的な話が通じる。これだけで、転職相談の質が全く違います。
2. 非公開求人の質が段違い
「全求人の80%が非公開」という謳い文句は、正直どこでも聞く話です。しかし、実際に紹介された求人を見て納得しました。
- 某大手半導体メーカーの次世代プロセス開発リーダー(年収900万円〜)
- 外資系装置メーカーのフィールドエンジニア(年収800万円+インセンティブ)
- 新設ファブの立ち上げプロジェクトマネージャー(年収1000万円〜)
これらの求人、一般の転職サイトでは絶対に見つからないものばかりでした。理由を聞くと、「技術流出を防ぐため、企業側が公開を控えている」とのこと。なるほど、と納得しました。
3. 職務経歴書が別人のように変身
最も衝撃的だったのが、職務経歴書の添削です。私が書いた原文:
「CVD装置を使用した成膜プロセスを担当」
これが、添削後にはこうなりました:
「LPCVD/PECVD装置(AMAT社製)を用いたSiN/SiO2成膜プロセスの開発・量産導入を担当。歩留まり95%→98%改善、タクトタイム20%短縮を実現」
具体的な装置名、数値実績、技術用語。これらを適切に盛り込むだけで、書類選考の通過率が劇的に向上しました。
実際の転職活動|3ヶ月間の軌跡
2024年1月から転職活動を開始。結果から言うと、応募8社、書類通過6社、内定3社という結果でした。
1ヶ月目:現状分析と戦略立案
最初の1ヶ月は、徹底的な自己分析から始まりました。担当エージェントとの面談は週1回、各回1時間以上。
特に印象的だったのが、「技術の棚卸し」作業です。10年間で携わった全プロジェクトを洗い出し、それぞれの技術要素、成果、使用装置を整理。この作業だけで、A4用紙10枚以上になりました。
2ヶ月目:応募と面接対策
応募企業の選定も戦略的でした。「今すぐ転職可能な求人」と「チャレンジ求人」をバランスよく混ぜ、段階的に応募。
面接対策は想像以上に実践的でした。実際の技術質問を想定した模擬面接は、本番さながらの緊張感。
「御社の3nm世代プロセスにおける課題をどう解決しますか?」
「EUV露光装置の導入における技術的なボトルネックは?」
こんな質問に対する回答を、何度も練習しました。
3ヶ月目:内定獲得と条件交渉
最終的に3社から内定を獲得。ここでもエージェントのサポートが光りました。
各社の将来性、技術ロードマップ、組織文化を詳細に分析。単純な年収比較ではなく、5年後、10年後のキャリアを見据えた選択ができました。
年収交渉も全てお任せ。結果的に、当初提示額から50万円アップの条件で入社が決まりました。
他社エージェントとの比較|実際に3社利用した結果
実は半導体Jobエージェント以外にも、大手2社のサービスを併用していました。比較すると違いは歴然でした。
| 項目 | 半導体Jobエージェント | 大手エージェントA社 | 大手エージェントB社 |
|---|---|---|---|
| 担当者の業界知識 | ◎ 元エンジニア | △ 一般的 | △ 一般的 |
| 求人の質 | ◎ 専門職多数 | ○ 大手中心 | △ 幅広いが浅い |
| 書類添削の質 | ◎ 技術用語に精通 | ○ 一般的な添削 | △ テンプレート的 |
| 面接対策 | ◎ 技術質問対策あり | ○ 一般的な対策 | ○ 一般的な対策 |
| レスポンス速度 | ○ 1営業日以内 | ◎ 即日 | △ 2-3営業日 |
| 求人数 | ○ 業界特化で厳選 | ◎ 圧倒的に多い | ◎ 圧倒的に多い |
大手エージェントの強みは、求人数の多さとレスポンスの速さ。一方で、半導体業界への理解度では圧倒的な差がありました。
デメリットも正直に|使ってみて感じた課題
良いことばかり書いても信憑性がないので、デメリットも正直に書きます。
1. 対応地域の限定
求人の多くが関東・関西の主要都市に集中しています。地方での転職を考えている人には、選択肢が限られるかもしれません。私の場合、九州の実家近くでの求人を探しましたが、該当するものは2件のみでした。
2. ベテラン向けの求人が中心
経験3年未満の若手向け求人は少なめです。即戦力を求める企業が多いため、第二新卒や未経験者には厳しいかもしれません。
3. 連絡頻度が高すぎることも
熱心なサポートの裏返しですが、連絡頻度は高めです。特に面接前は、毎日のように確認の電話が。現職が忙しい時期は、正直負担に感じることもありました。
転職成功後の現在|3ヶ月経過して思うこと
新しい職場で働き始めて3ヶ月。結論から言えば、転職は大成功でした。
年収は200万円アップ。しかしそれ以上に、技術的なチャレンジができる環境、優秀な同僚たち、将来性のあるプロジェクト。これらすべてが、期待以上でした。
特に印象的だったのは、入社初日の出来事です。上司から言われた一言:
「君の経歴書を見て、うちのプロジェクトにぴったりだと確信した。特にALDプロセスの最適化経験は、まさに今我々が必要としていた技術だ」
これは、エージェントが私の強みを正確に企業に伝えてくれた結果だと思います。
半導体エンジニアの転職で本当に大切なこと
3ヶ月の転職活動を通じて学んだことがあります。それは、半導体業界の転職は「誰と組むか」が成功の8割を決めるということです。
技術力があっても、それを適切に伝える術がなければ意味がない。市場価値があっても、適切な求人にアクセスできなければ宝の持ち腐れ。
半導体Jobエージェントの最大の価値は、業界を知り尽くした人間が、エンジニアの言葉を企業の言葉に翻訳してくれること。これに尽きます。
利用を検討している人へ|私からのアドバイス
最後に、半導体Jobエージェントの利用を検討している人へ、経験者としてアドバイスを。
こんな人には特におすすめ
- 半導体業界で5年以上の経験がある
- 技術的な専門性を正当に評価されたい
- 年収アップと技術的成長の両立を目指している
- 一般的な転職エージェントで満足できなかった
利用する際の注意点
- 技術の棚卸しは時間をかけて
最初は面倒に感じるかもしれませんが、ここが肝心です。10年分の経験を振り返る作業は、自分の市場価値を再認識する良い機会にもなります。 - 希望条件は明確に伝える
年収だけでなく、技術領域、勤務地、企業規模など、優先順位をつけて伝えましょう。専門エージェントだからこそ、細かい要望にも応えてくれます。 - 他社エージェントとの併用も視野に
専門性は高いですが、求人数では大手に劣ります。幅広く情報収集したい場合は、併用も検討してください。
転職は人生の大きな転機。だからこそ、本当に自分の価値を理解してくれるパートナー選びが重要です。
もし今、半導体業界でのキャリアに悩んでいるなら、一度相談してみる価値は十分にあります。少なくとも私は、あの時相談して本当に良かったと思っています。
技術者として、エンジニアとして、もっと高みを目指したい。そんな想いを持っているなら、専門家の力を借りるのは決して恥ずかしいことではありません。むしろ、賢明な選択だと思います。
あなたの技術と経験が、正当に評価される場所は必ずあります。その扉を開く鍵を、見つけてください。

