銀行員の顔が曇った瞬間、私は察した。また落ちたのだ。

「申し訳ございませんが、今回は...」

3回目の法人口座開設審査。準備は万全だったはずなのに。バーチャルオフィスの住所が原因だと気づいたのは、担当者がふと漏らした一言だった。

「やはり実態のあるオフィスでないと...」

その時、私は理解した。問題はバーチャルオフィスそのものではなく、どのバーチャルオフィスを選ぶかだったのだ。

なぜ大手銀行がバーチャルオフィスを嫌うのか

起業して最初にぶつかる壁が法人口座開設だ。特にバーチャルオフィスを使っている場合、その難易度は跳ね上がる。

私が最初に契約したバーチャルオフィスは月額3,000円。一見お得に見えたが、実は大きな落とし穴があった。

  • 住所の画像表示しか許可されていない
  • 同じビルに怪しい業者が多数入居
  • 郵便物の転送が月1回のみ
  • スタッフが常駐していない

銀行の審査担当者は、こういった「質の低い」バーチャルオフィスを一目で見抜く。そして容赦なく審査を落とすのだ。

バーチャルオフィス1との出会い

4社目のバーチャルオフィス選びで、私は慎重になっていた。そんな時に見つけたのがバーチャルオフィス1だった。

正直、月額880円という価格を見た時は疑った。安すぎる。きっと何か裏があるに違いない。

しかし、詳細を調べていくうちに、その考えは180度変わった。

圧倒的なコストパフォーマンスの秘密

バーチャルオフィス1が月額880円で提供できる理由は単純だった。無駄を徹底的に省いているのだ。

サービス内容 バーチャルオフィス1 一般的なバーチャルオフィス
基本料金 880円/月 3,000円〜5,000円/月
法人登記 追加料金なし +1,000円〜3,000円/月
郵便物転送 月4回(週1回) 月1〜2回
代理サイン 無料 1回500円〜1,000円

しかも、渋谷や千代田区という一等地の住所が使える。これは正直、信じられなかった。

実際に使ってみて分かった3つの真実

1. 銀行員の反応が明らかに違った

4回目の法人口座開設申請。三井住友銀行の窓口で住所を伝えた時、担当者の表情が今までとは違っていた。

「渋谷区道玄坂ですね。こちらのビルは...ああ、なるほど」

後で分かったことだが、バーチャルオフィス1は厳重な入居審査を実施している。怪しい業者は徹底的に排除されているため、銀行からの信頼も厚いのだ。

2. 郵便物管理のストレスがゼロに

以前のバーチャルオフィスでは、重要書類が届いても月1回の転送まで待たなければならなかった。

バーチャルオフィス1では:

  • LINEで即座に通知が来る
  • 重要なものはスポット転送(550円+送料)で即日発送
  • 不要なDMは無料で破棄してくれる
  • 簡易書留も無料で受け取ってくれる

クレジットカードの受け取りも問題なかった。これは地味に大きい。

3. 予想外の来客にも対応できた

ある日、急にクライアントが「オフィスに伺いたい」と言ってきた。以前なら冷や汗ものだったが、バーチャルオフィス1には来客対応システムがある。

クライアントが受付の端末から私に直接電話をかけられるシステムだ。11時〜16時はスタッフも常駐している。

「きちんとしたオフィスですね」とクライアントに言われた時、月額880円とは思えなかった。

他社サービスとの比較で見えた真実

バーチャルオフィス選びで迷っている人のために、主要3社を徹底比較してみた。

項目 バーチャルオフィス1 Karigo(カリゴ) NAWABARI
最低料金 880円/月(年払い) 3,300円/月〜 1,078円/月
法人登記 ◯(追加料金なし) ◯(プランによる) ◯(追加料金なし)
郵便転送頻度 週1回(月4回) 月1回〜 月1回
代理サイン 無料 有料オプション 対応なし
拠点数 東京2拠点、広島1拠点 全国50拠点以上 東京1拠点
スタッフ常駐 11:00-16:00 拠点による なし
LINE通知 ◯(無料) × ×

Karigoは全国展開している点が魅力だが、料金は約4倍。NAWABARIは料金的には近いが、郵便転送が月1回のみで、代理サインにも対応していない。

8ヶ月使って分かったデメリット

完璧なサービスは存在しない。バーチャルオフィス1にも当然デメリットはある。

1. 拠点が限定的

東京(渋谷・千代田)と広島のみ。地方で起業する人には選択肢が少ない。ただし、今後全国展開予定とのことなので、期待はできる。

2. 会議室がない

打ち合わせスペースは提供されていない。クライアントとの商談は別途レンタルスペースを借りる必要がある。月額880円を考えれば仕方ないが。

3. 電話転送サービスがない

固定電話番号の提供や電話転送サービスはない。ただ、今の時代、携帯電話で十分という人も多いだろう。

どんな人におすすめか

8ヶ月使ってみて、バーチャルオフィス1が向いている人とそうでない人がはっきり分かった。

向いている人

  • とにかく固定費を抑えたい起業家
  • 法人口座開設を確実に成功させたい人
  • 東京の一等地住所でビジネスをしたい人
  • 郵便物の管理を効率化したい人
  • IT系やコンサルなど、来客が少ない業種

向いていない人

  • 頻繁に会議室を使う必要がある人
  • 電話番号転送が必須の人
  • 地方都市で起業したい人(東京・広島以外)

法人口座開設のコツ(実体験から)

バーチャルオフィス1のおかげで法人口座は開設できたが、それ以外にも重要なポイントがあった。

  1. 事業計画書は具体的に - 売上予測は控えめに、でも実現可能な数字を
  2. 個人口座の実績を活用 - 同じ銀行に個人口座があると有利
  3. 初回入金額は多めに - 最低でも100万円は用意したい
  4. バーチャルオフィスの利用証明書を活用 - バーチャルオフィス1は発行してくれる

特に4番目は重要だ。賃貸契約書の代わりになる利用証明書があることで、銀行の信頼度が大きく変わる。

平均郵送費用は481円という現実

「月額880円でも郵送費用が高いのでは?」という不安があったが、実際の平均郵送費用は約481円だった。

DM破棄オプション(無料)を活用すれば、さらに削減可能。私の場合、月平均300円程度に抑えられている。

まとめ:月額880円の価値は本物だった

正直、最初は「安かろう悪かろう」だと思っていた。しかし8ヶ月使ってみて、その認識は完全に間違っていたと断言できる。

バーチャルオフィス1の真価は:

  • 銀行から信頼される住所と運営体制
  • 郵便物管理の効率性(週1転送+LINE通知)
  • 隠れたコストがない透明な料金体系
  • 起業家の「本当に必要なもの」に絞ったサービス

月額880円でこれだけのサービスが受けられるのは、正直驚異的だ。

ただし、会議室が必要な人や、地方都市で起業したい人には向かない。自分のビジネススタイルと照らし合わせて選ぶことが重要だ。

私のように法人口座開設で苦労している人、固定費を極限まで抑えたい起業家には、心から検討する価値があると思う。

4回目の挑戦でようやく開設できた法人口座。その通帳を見るたびに、バーチャルオフィス選びの重要性を実感している。