渋谷駅から徒歩2分の一等地住所が月額980円で使える。最初にこの価格を見た時、正直「何か裏があるのでは?」と疑ってしまった。

フリーランスとして独立して2年。自宅住所を名刺に載せることへの抵抗感と、クライアントからの信頼性を考えると、どうしてもビジネス用の住所が必要だった。しかし、実際のオフィスを借りるには初期費用だけで50万円以上、月額賃料も10万円を超える。

そんな時に出会ったのが「バーチャルオフィス」という選択肢。特にPocketOffice(ポケットオフィス)の料金を見た瞬間、「これは詐欺か?」と思わず画面を二度見した。

実際に3社を比較して分かった衝撃の事実

疑り深い性格の私は、すぐに契約せず、まず主要3社のサービスを徹底的に比較することにした。

サービス名 月額料金(税込) 初期費用 郵便転送頻度 法人登記 会議室利用
PocketOffice 1,078円〜 5,500円 月1回〜週1回 ○(プランによる) ○(プランによる)
Karigo 3,300円〜 7,300円〜 週1回 △(別料金)
Regus 9,900円〜 要問合せ 即日転送可

この比較表を作って気づいたのは、PocketOfficeの価格設定が異常なまでに安いということ。他社の3分の1以下の価格で、しかも渋谷の一等地住所が使える。

なぜPocketOfficeはここまで安いのか?

正直なところ、最初は「安かろう悪かろう」を疑った。しかし、実際に契約して使ってみると、その理由が分かってきた。

まず、1フロア1テナント制を採用していること。これにより、他のバーチャルオフィスのように大量の契約者を詰め込む必要がなく、管理コストを抑えられている。

さらに、必要最小限のサービスに絞った「スマートプラン」の存在も大きい。郵便転送が月1回でOKな人にとっては、これで十分。実際、私も最初の半年はスマートプランで問題なかった。

実際に使って分かった良い点・悪い点

良かった点

1. LINEで郵便物を確認できる
これは本当に便利。郵便物が届くとLINEで写真が送られてくるので、急ぎの書類かどうかすぐ判断できる。

2. スタッフの対応が丁寧
急な来客があった時も、スタッフが常駐しているので安心。実際、クライアントが突然訪問した時も、きちんと対応してもらえた。

3. 会議室がカフェのような雰囲気
堅苦しいオフィスではなく、リラックスできる空間。クライアントとの打ち合わせでも好評だった。

気になった点

1. スマートプランは来店受取不可
急ぎの書類を直接取りに行けないのは少し不便。結局、私は3ヶ月後にコンプリートプランに変更した。

2. 電話転送は別料金
03番号が欲しい場合は、追加で月1,628円かかる。トータルで見ると、他社との差は縮まってくる。

3. 専用デスクは高額
24時間使える専用デスクは魅力的だが、月47,300円は正直高い。これなら小さなレンタルオフィスを借りた方が...

どんな人に向いている?向いていない?

向いている人

  • とにかく初期費用を抑えたい個人事業主
  • 特定商取引法の表記用住所が必要なEC事業者
  • 自宅住所を公開したくないフリーランス
  • 郵便物が少ない業種の方

向いていない人

  • 毎日大量の郵便物が届く事業者
  • 頻繁に来客対応が必要な業種
  • 実際の作業スペースが必要な方
  • 地方在住で東京に行く機会がない方

契約前に知っておくべき落とし穴

実は、バーチャルオフィスには意外な落とし穴がある。

1. 銀行口座開設が難しい場合がある
一部の銀行では、バーチャルオフィスの住所での法人口座開設を拒否されることがある。私も最初の銀行では断られ、3行目でようやく開設できた。

2. 許認可業種は要注意
古物商や人材派遣業など、実際の事務所が必要な許認可は取得できない。事前に確認が必要。

3. 解約時の住所変更コスト
名刺、ホームページ、各種登録...住所を変更する際のコストと手間は想像以上。長期利用を前提に検討すべき。

結論:PocketOfficeは「始めやすさ」で選ぶべき

8ヶ月使ってみた結論として、PocketOfficeは「完璧なサービス」ではない。しかし、「始めやすさ」という点では圧倒的だ。

特に、起業したばかりで資金に余裕がない時期、月額1,078円で渋谷の住所が使えるのは本当にありがたかった。事業が軌道に乗ってきたら、必要に応じてプランをアップグレードしたり、他社に移行したりすることもできる。

ただし、「安いから」という理由だけで選ぶのは危険。自分の事業内容、郵便物の量、来客頻度などを考慮して、本当に必要なサービスかどうかを見極めることが重要だ。

私の場合、最初の一歩を踏み出すきっかけとして、PocketOfficeは最適な選択だった。今では月10万円以上の売上があり、そのうち実際のオフィスを借りることも検討している。でも、この月980円から始められたことが、今の自分につながっていると思うと、感慨深いものがある。

最後に:契約する前にチェックすべき3つのポイント

もしPocketOfficeの利用を検討しているなら、以下の3点は必ず確認してほしい:

  1. 郵便物の頻度を正確に把握する - 月1回転送で本当に大丈夫?
  2. 将来的な事業展開を考える - 許認可が必要になる可能性は?
  3. 解約時のコストを計算する - 住所変更にかかる費用と手間は?

バーチャルオフィスは便利なサービスだが、万能ではない。自分の事業に本当に必要かどうか、冷静に判断することが大切だ。